連載

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2021年9月 No.531

評価制度①

社会保険労務士法人アスミル
特定社会保険労務士 櫻井 好美

profile:
民間企業に7年勤務後、2002年櫻井社会保険労務士事務所(社会保険労務士法人 アスミル)を設立。
【主なコンサルティング・セミナー内容】
就業規則・労働環境整備、人事評価制度コンサルティング、賃金制度コンサルティング、退職金コンサルティング、働き方改革セミナー、管理職向け労務管理セミナー、建設業むけ社会保険セミナー、介護セミナー、WLBセミナー、女性の働き方セミナー、学生むけ働く前に知っておいてほしいこと 等

評価制度とは?

前回、賃金制度について解説をしました。賃金制度はお給料の決め方だとすると、その決め方に基づいて、それぞれの能力レベル、会社への貢献度を把握していくのが評価制度です。とはいえ、人事評価は給料を決定するだけに使うのではなく、評価面接をすることで、現在の社員の能力を理解し、どのような仕事が向いているのかを判断することができ、また本人がどのようにステップアップしていきたいか?を確認することができます。賃金を決定する重要な役割であるとともに、社員を育てていくツールでもあるのです。

評価制度の種類

代表的な評価制度について説明します。

①目標管理制度(MBO)

個々人で目標設定をし、個々の目標を達成することで、最終的に企業全体の目標達成をするというものです。設定する目標は、社員自身の目指すものとして、企業全体に貢献はするけれども、会社や上司から指示されたものではありません。これにより社員の自主性や問題解決能力を育てることもできます。具体的でわかりやすい内容を選び、期間や取り組みの内容を明示することで、最終的には評価に反映しやすい点もメリットです。ただ、管理職がこの仕組みや業務内容を理解していないと目標設定があいまいになったり、簡単にクリアできるような目標になってしまうので、目標設定が重要です。

②コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、社員の基本的な資質ではなく、高い業績を上げる人に共通してみられる行動特性をもとにして行う人事評価制度のことです。コンピテンシーの評価のメリットとして、行動特性を客観的に分析できる、評価基準のあいまいさをなくす、上司との相性や男女差などによるブレを抑えることができるという点があげられます。コンピテンシー評価は、社員全員の分析・一人ひとりの弱みを見つけて指導することにも利用可能です。

③360度評価(多面評価)

360度評価とは、仕事上で関係を持つ多方面の社員(上司、同僚、部下等)が評価対象者を評価することです。上司が部下の人事評価を行う人事評価制度とはまったく異なる手法を用います。立場の違った複数の視点から評価対象者を見ることで、評価対象者が現場で発揮している能力などの人事評価材料をより多く集めることができます。また、「上司にどのように評価されるか」だけでなく、「同僚や部下と良好関係を築きながらどのように仕事を進めるか」を意識するきっかけにもなります。

評価項目について

いずれの評価制度を導入したとしても評価の項目を設定する必要があります。代表的な評価項目について説明します。

①能力評価

職務遂行にあたり必要なスキル・知識を所持しているか、という点を評価します。

②情意評価

仕事に対する姿勢やチームへの貢献度等を評価します。一般的に情意評価の項目の中に、積極性、協調性、責任感、といった項目があげられます。

③役割評価

直接の業務ではなく、その人への役割に対する貢献度を評価します。

④成果評価

職務遂行の結果としての実績を評価対象とします。定性的な評価を用います。

  主な業務: リフォーム会社  
  従業員数: 35名

問題点

“頑張りの基準”が見えないせいで社員から不満の声が!

社員から「社長は「給与は仕事の能力で決める」といいましたが、何を頑張れば給与が上がりますか?」「昨年より会社の業績も上がったし、私も頑張っているのに・・・」と不満の声があがってきてしまいました。どうしたらいいでしょうか?

改善後

役割、等級基準を明確化することが社員の士気を高める!

①等級基準書の作成

以前、キャリアアッププランでも説明しましたが、すでに会社で作成している等級制度を再度検討しました。1等級から6等級までの役割を作成していたものに、それぞれの職種ごとに必要な能力の要件、達成目標を整理しました。

②業務の洗い出し

具体的な業務ができたかどうかを評価していきたいという要望から、日常の業務を洗い出してもらい、それぞれの仕事の難易度をつけていきました。

③評価シートの作成

評価シートを役割、業務遂行能力、勤務姿勢の3つにわけ、それぞれの評価項目を設定しました。役割とは、その等級として必要な役割、業務遂行能力は業務の洗い出しにより抽出された業務の内容を具体的におとしていきました。また、仕事において業績とは直結しませんが、勤務姿勢についても項目として落とし込みました。

● 今後の課題

今回、従前に作成した等級基準書をベースにし評価シートを作成しました。今後は運用が問題です。評価する人によって甘辛がでたのでは、評価される社員の方のモチベーションが下がります。適切な運用のために今後は考課者研修を実施していく予定です。

1.評価項目のみえる化を!!

人の感覚はそれぞれです。社員の方の頑張りが無駄にならないよう、やるべき項目を具体的にみせていきましょう。

2.定期的な面談を!!

評価には定期的な面談が必要です。しかし、評価は通常の業務以外のことになるため、どうしても後回しにしがちです。評価をするのであれば会社としてやり抜く姿勢が大切です!!

3.評価は管理職のマネジメントツール!!

自分の仕事はできるけど部下に教えるのが出来ない、仕事は見て覚えるの世代の方がまだまだたくさんいます。評価シートには会社として必要な能力が書かれていますので、管理職の人にとっては絶好のマネジメントツールになります。

 

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