連載

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2021年7・8月 No.530

技術と知識・想像力で暮らしを彩る快適な空間を手がける内装仕上工事業。

技術と知識・想像力で
暮らしを彩る快適な空間を手がける
内装仕上工事業。

天井・壁・床といった内装を仕上げ、施設それぞれの目的やイメージに合わせた空間を手がける内装仕上工事業。快適な暮らしに欠かすことのできない空間づくりを担う2人、株式会社渡清の本田さん、竹内さんに話をうかがった。

 

本田  誠一(ほんだ せいいち)さん

1974年11月生まれ 東京都出身

求められるのは、完成イメージを描く想像力と、臨機応変な対応力。

内装仕上工事業に携わる親戚の仕事を手伝った経験が、現在の仕事に就くきっかけだった。「それまで建設という分野にゆかりはなかったのですが、内装工事に関わったことで初めてこの仕事の魅力を知りました。黙々と机に向かう作業よりも、体を動かす職種のほうが自分にも合っていると感じましたね」。

入職から20年を経て、マンション・学校・工場・病院などあらゆる建設工事に携わってきた本田さんは、内装仕上工事業のプロフェッショナルといえる存在だ。現在は施工班のリーダーとして現場の中心となり活躍するほか、指導員として竹内さんら後進を指導する立場でもある。「最も大切なのは怪我をさせないこと、そして周りに危険を及ぼすような行動をさせないこと。安全管理に対しては徹底した指導を心がけています」と、安全への配慮を忘れることはない。

さらに「建設業は体を使う業種という印象が強いですが、それ以上に知識や想像力を必要とする仕事。内装仕上工事業であれば、ボードの加工や仕上げの際にも作業者自身の頭の中で施工計画と材料とを照らし合わせて完成イメージを描き、臨機応変に作業を進める対応力が求められます」と語り、本田さんの下で励む竹内さんへも大きな期待を寄せる。「最初は体の線も細く、現場の仕事についていけるかな…と心配もしていましたが、今は現場にも慣れ、自分自身の考えで柔軟に動けるようになりました。職人としての成長を感じています」と笑みをこぼす。「私も入職当初から、現場の方とのコミュニケーションを通して成長することができました。竹内にも周りの職人から様々なことを学び取り、一番合ったやり方を身に着けていってほしいですね。いずれ私を越えて一人前の職人になるよう、力いっぱいサポートしていきます」と話し、新たな現場の中心となる若手へエールを送った。

 

竹内 光生(たけうち こうき)さん

1997年4月生まれ 福島県出身

“無駄をなくす”という教えを常に意識。一日も早く、一人前の職人に。

「もの心ついた頃から、ものづくりの世界に憧れを持っていました」と語る竹内さん。その中でもテレビ番組で取り上げられていた建設業に興味を持ち、専門学校へ入学。卒業後は周りのほとんどが大工の道へ進む中、「現場の見学会などを通して、自分には内装の仕事が一番合っていると感じ、内装仕上工事業に就きました」。

入職して以来、経験豊富な本田さんの下でこの仕事のイロハを学んだ。「最初に内装仕上工事業について本田さんから教わった際、図解や絵を使って非常にわかりやすく指導していただいたことを覚えています。相手に理解しやすいよう伝えることの大切さも学ぶことができました」と話し、現場でも本田さんへの確認は欠かさない。「本田さんからは“無駄をなくす”ことを常に意識づけるよう言われています。安全で正確な工程はもちろんですが、下地張りやボードの加工、作業手順などあらゆる面において、どうすれば早くできるか、どうすれば美しくおさまるかといった効率性を念頭に置きながら現場に向き合っています」。また周りと積極的にコミュニケーションを図る本田さんの姿勢にならい、「休憩中にはあえて携帯・スマホをしまい、周りとコミュニケーションをとるようにしています。日常的な会話を増やすことで、こちらからも相手からも意見を交わしやすい環境をつくることを心がけています」と話す。

今後の目標は「一日も早く、一人前の職人になること」という竹内さん。「具体的には、鋼製下地工事作業・ボード仕上げ工事作業の2級内装仕上げ施工技能士の資格を取得し、ゆくゆくは1級内装仕上げ施工技能士になることです。そのためには、現場の方たちの動きを“見て学ぶ・見て盗む”ことが大切。これからも様々なことを吸収しながら、一人前の職人を目指していきたいです」と抱負を語ってくれた。

内装仕上工事業のプロフェッショナル。その技と想像力、積み重ねられていく経験は、日々培われながら受け継がれていく。

取材協力: 株式会社 渡清

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