連載
年次有給休暇の取得義務について
Photo・Text :
アスミル社会保険労務士事務所代表
特定社会保険労務士 櫻井 好美
民間企業に7年勤務後、2002年櫻井社会保険労務士事務所(現・アスミル社会保険労務士事務所)を設立。
【主なコンサルティング・セミナー内容】
就業規則・労働環境整備、人事評価制度コンサルティング、賃金制度コンサルティング、退職金コンサルティング、働き方改革セミナー、管理職向け労務管理セミナー、建設業むけ社会保険セミナー、介護セミナー、WLBセミナー、女性の働き方セミナー、学生むけ働く前に知っておいてほしいこと 等
いつからスタート?
2019年4月より、年10日以上の有給休暇が付与される者には、年5日の年次有給休暇を取得させることが使用者の義務になりました。
有給休暇とは?
業種、業態に関わらず、また、正社員、パート等の区別なく、一定の要件を満たした場合に与えなくてはいけない、会社から賃金が支払われる休暇のことです。
年次有給休暇が付与される要件
有給休暇の付与日数
有給休暇の賃金
有給休暇の賃金は法律で下記のいずれかで支払うことが決まっています。
通常、月給者であれば給与を控除しないということになりますので、❶所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金ということになります。しかし、日給制であって月によって労働日数が違うような場合は、❷の平均賃金を使うことも考えられます。3つの計算方法のいずれかを選択するかは、就業規則等で明確に規定することとなっています。
Q&A
Q. 有給休暇の買い取りはできますか? A. 買取はできません。ただし、時効で消滅してしまった有給休暇や法定を上回る休暇については買取することができます。 |
Q. 有給休暇の時効は? A. 時効は2年です。使いきれなかった有給休暇は翌年に持ち越すことができます。 |
Q. 半日単位の取得は可能ですか? A. 労働者が希望し、会社が合意した場合であれば半日単位の取得も可能です。 |
Q. 忙しい時期の有給休暇の申し出は、断っても大丈夫ですか? A. 原則断ることはできません。 |
計画的付与の活用
有給休暇の取得率の高い会社であればいいのですが、有給の取得率が低い会社であれば、5日の取得義務にあたっては、計画的付与の利用をお勧めします。計画的付与とは有給休暇の5日を超える部分に関して、会社と労働者代表との協定を結び、計画的に取得日を決めることができる制度です。
罰則
年次有給休暇を取得させなかった場合は、30万円以下の罰金になります。
ポイント!!
建設業の場合、日給制を採用していることから、年次有給休暇の考え方がないところが非常に多いです。しかしながら日給制であっても有給休暇は適用されます。有給休暇を適正に運用するためには、まずは会社の所定労働日を決め、適正な労務管理をする必要があります。また有給休暇に関する事項は就業規則への記載事項となるため、小さな会社であっても取得のルール等を決め、就業規則へ記載することが望ましいです。
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