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連載

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2020年2月号 No.515

PROFESSIONAL 金属の板から1点だけの部品を作り出す「金属加工の匠」

金属の板から1点だけの部品
作り出す「金属加工の匠」

登録建築板金基幹技能者
有限会社 森川製作所
森川 享英(もりかわ たかひで)さん
1974年3月生まれ 
大阪府出身

金属板を叩く槌の音に混じって、若い職人の笑い声が響く。ここは大阪府板金会館(東大阪市)の1階で行われている大阪府板金高等職業訓練校の授業。その真ん中で指導に当たるのが森川製作所の代表、森川享英さんだ。「建築板金」の職人としてのキャリアは20年以上。1枚の金属板を叩いて、伸ばし、曲げて、溶接して、雨樋から屋根材、さらには流し台まで作ってしまう、まさに「職人技」の持ち主だ。

現在、3代目社長として腕を振るう森川さんだが、もともとは流通業界への就職を目指し、ビジネスの専門学校に通っていたそう。そんなある日、社長を務めていた父親が突然倒れ、予期せず会社を継ぐことになった。「お付き合いのある親方について仕事を教わっていたんですが、1年経った頃にその方が交通事故に遭ってしまいました。さらに自分の会社の職人さんも辞めてしまったので、そこからは独学です」。何もかも手探りの厳しい状況だったが、他職種の職人さんからの「お前はプロだろ」という叱咤・激励に助けられた、と振り返る。

仕事のこだわりは「手を抜かないこと」。「作業に取りかかる前に、頭の中で入念にシミュレーションしています。現場の様子を想像し、何度も想定作業を繰り返すことで、本番は迷わずに作業できるんです」。仕事の段取りを綿密に確認することで、備えが足りない部分が見えてくる。特に安全については二重・三重に備えているそう。その丁寧な仕事ぶりが信頼につながり、一般住宅から工場のような大規模建造物、テーマパークまで、さまざまな現場から声がかかるようになった。

2009年には登録建築板金基幹技能者の認定も取得した。「登録建築板金基幹技能者になって、現場の調整役となることが増えました。他の業種の職人さんとも積極的にコミュニケーションを取り、皆が円滑に、安全に働けるよう気を配っています」。

最近は自らの仕事の傍ら、若手職人に建築板金の基礎を教えたり、技術大会の指導などを行っている。「商売って『社会還元』だと思います。どれだけ社会の役に立てるかが大事。だからこそ、自分たちの世代は若手に技術を出し惜しみせずに教えて、その活躍を応援しないと」。持てるすべてを若手に伝えるために、教育マニュアルの制作にも取り組む。「技術を覚えるのに遠回りなんて必要ない。最短距離で覚えて、早く現場で活躍してほしいですね」。前向きな明るい笑顔で語る森川さん。その手が作るのは、単なる部品ではない。建築板金の未来だ。

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