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2019年12・2020年1月号 No.514

手掛けたのは豊洲市場や羽田空港 ずっと使われ続ける建物をつくる鉄筋工の誇り

手掛けたのは豊洲市場羽田空港
ずっと使われ続ける建物をつくる鉄筋工の誇り

登録鉄筋基幹技能者
株式会社守谷鉄筋
守谷 研(もりや けん)さん
1974年12月生まれ 
東京都出身

鉄筋工はビルやマンション、道路や橋などのあらゆる建設現場で、欠かすことができない存在だ。コンクリートに覆われてしまい完成形の建築物・構造物でその姿を見ることはないが、鉄筋工の手により網目状に組み上げられた鉄筋が、安全・安心な建物の要となるからだ。設計図をもとに鉄筋を組むので、目指すべき“かたち”はひとつ。しかしその“組み方”は、鉄筋工が10人いれば10通りの方法がある。「十人十色だからこそ、『この人の作業は早かった』『これはきれいな作業だな』など学ぶことが多い。もっと上を目指したいという気持ちが、掻き立てられるのでしょうね。自分で組んだ鉄筋を眺めては、『次はもっと早く、きれいにできる!』と気持ちがはやります」と語る(株)守谷鉄筋の守谷研さん。

入職4年で初めて職長を務めたのは、小さな共同住宅の現場。元請からの図面をもとに自分で材料を発注するなど、それまでの下積み時代の責任とは比べものにならないが、不安はなかった。「やるしかない!という気持ちが何よりも勝っていました」。以来、少しでも大きな現場に入りたいという向上心を糧に、矢島鉄筋工業(株)の指導を仰ぎながら研鑽を積んだ。今では豊洲市場や羽田空港国際線ターミナルなど、誰もが知る建物に携わる機会も多い。「私が携わった高級ホテルのカフェに母が行き、『すごいホテルだね』と言ってくれた時はうれしかったですね。ずっと使われ続ける建物をつくるのは、鉄筋工の誇りだと思います。特に豊洲市場は世間の注目度が高いうえに、総勢1,500人の職人が集まる大規模な現場。鉄筋工事業者は5社入っていたのですが、一番早く、きれいに仕上げようといつも以上に力が入りました」と語る言葉に熱が帯びる。

12年前には登録鉄筋基幹技能者の資格を取得。指導者としての責任感を強く意識するようになった。「自分が培ったことを、部下にどう伝えるか。『やってみせ、言って聞かせて、ほめてやらねば人は動かじ』という山本五十六さんの言葉が私の教訓です。若い世代を指導することは自分自身も学ぶことが多く、日々勉強です」。現在は14人の従業員を束ねているが、ゆくゆくは50人規模の会社にするのが目標。「夢は、自社ビルをつくること!」と力強く宣言する。まず目標達成のために注力するのは、若手の育成。「若い世代の持つパワーや頭の回転の早さが、これからの建設業を担っていきます。そんな彼らに私たち世代の強みである技術や経験を伝え、後世に長く残る建造物を一緒につくりたい」と語る守谷さんの目には、建設業の明るい未来がうつっている。

 

 

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