連載

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2019年7・8月号 No.510

正か誤しかない“電気”は正直モノ。間違いの正解を探すことさえも楽しい!

正か誤しかない“電気”は正直モノ。
間違いの正解を探すことさえも楽しい!

登録電気工事基幹技能者
株式会社関電工
川島 博幸(かわしま ひろゆき)さん
1974年8月生まれ 
東京都出身

高校時代、繋げた回路で明かりが灯ることに興味をもち、夏休みの期間だけサッカー部と掛け持ちをして「電気工事士部」に入部したという川島博幸さん。電気工事士は国家資格。難しくはあるが、照明が点いた瞬間の達成感が楽しく、電気の世界にのめりこんだ。

学生時代に資格を勉強しているときは、電線をつなげばすぐに照明が点灯した。しかし、実際の建築現場はそうではなかった。さまざまな職方と現場を調整しながら各所に電気配線工事を施し半年、1年をかけてようやく電気を送ることができる。「入社当初はそのギャップに驚きましたが、その反面、新築現場の基礎工事から竣工までを見届けられ、そこで灯る明かりを最初に見られるのは面白い。これは私たち電気工事士の特権です」と誇らしげだ。また、完成した建物に明かりが灯ると、雰囲気ががらりと変わる。「無事に点灯した時は感動します。マニアックなんですけど、電気を送電した時に聞こえる音も好きで(笑)。電圧を変える変圧器という機器に電圧が印加された時、ブーンと唸るような音が響くんです。あの音が心地よくて」と目を細める。また、「電気は正直ですから、配線が間違っていれば点灯しません。一発で送電出来た時はもちろんうれしいですが、確認で不具合があった時に正解を探して、きちんと直すことができた瞬間は更にうれしいです」と、とめどなく電気の魅力を語る姿に“電気愛”があふれる。

関電工一筋26年、キャリアを重ねた中で川島さんは、日本を象徴する高層建築や放送施設などに携わった。志の高い人たちと現場を共にすることはもちろん、建造物のバックヤードをつくる面白さは格別な魅力があった。6年前に「登録電気工事基幹技能者」の資格を取得すると、安全・工程・品質・コストの管理、他職の職人とのコミュニケーションなどあらゆることに意識が向き、更に責任感が芽生えた。電気は目に見えるものではなく、一歩間違えれば火災などの事故の原因になりかねない。「だからこそ我々の仕事には国家資格が必要であり、安全を管理するための視点とコミュニケーションが重要なんです」と表情を引き締める。

これまでの経験を活かし、「日本一高い場所に電気を送る仕事がしたい」と次なる現場への夢を語る川島さん。「高さのある建物というのは、電力ケーブルを上へ引っ張る必要があります。高ければ高いほど、より綿密な設計と施工技術が求められる。難しいですが、どう工事を進めていくか考えるのはやはり楽しいです。ぜひ挑戦したいですね」と語るその表情は、希望に満ちていた。

 

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