連載

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2019年4月号 No.507

働き方改革と若者の定着の実践に向けて〜建設産業における働き方改革の3つの視点〜

第一回は、老舗建設における働き方改革の実施を「建設業働き方改革加速化プログラム」を参考にしながら、3つの視点より課題解決の方針を定める手順をわかりやすく解説します。
(「建設業働き方改革加速化プログラム」http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000561.html

原案作成 手島 伸夫

一部上場建設会社に34年勤務して、社長室次長、ISO品質保証システム部長を歴任。中小企業診断士、社会保険労務士、1級土木施工管理技士

スクリプト 廣津 栄三郎

一部上場建設会社で技術営業部長や関連会社の社長を歴任後、複数の海外企業にてコンサルティングを行う。技術士、測量士、工学博士

 


老舗建設の働き方改革を実践するための第一回会議

和歌三社長
本年度は、働き方改革を実践するため、生産性向上と経営力強化を目指して、経営計画の見直しをしていくこととします。

方針(進むべき方向)の明確化

賢説課長
働き方改革を実践するためには、従業員が、楽しく働き、自ら貢献したいと思う会社にすることです。
石頭部長
従業員の確保や退職者の抑制を実現しなければならないな。
賢説課長
そうですね。働き方改革は、人を大切にする施策が重要だと思います。

問題の抽出と目標設定

現状と経営計画とのギャップが問題であり問題解決のための設定が目標

石頭部長
今後の、工事部従業員の充足度合いについて、課長から説明させます。
超勤課長
経営計画書(工事部人員計画と将来計画) Cの欄をみると、5年後に減少する人員の合計が2名です。このままでは、今後見込まれる工事の施工体制確保が困難です。このため、 Eの経営計画達成のための人材確保目標数、29歳以下が6名、30~39歳が3名程度確保が必要となります。
石頭部長
これらは現在の職員が退職しないことを前提としているので、一層、会社の魅力を高めていく施策が必要だな!

問題解決策の方針

問題解決のために進むべき方向

超勤課長
老舗建設の働き方改革の3つの視点  は、いわゆる「加速化プログラム」を参考にして老舗建設で考慮すべき、働き方改革のポイントを3つのグループ別にまとめたものですね。
賢説課長
まず、職場環境と労働条件の改善を図るために、コミュニケーション改善が必要です。次に、若い人材の確保と定着を図るために、人を大切にする「人間関係論」をベースに、指導者の指導力向上を図ることが必要です。
石頭部長
最後に、生産性の向上を図るために、管理会計における「限界利益」の利用、社内技術工夫発表会の実施などが重要な導入ポイントになってくるな。
賢説課長
それ以外にも女性活躍やICT活用をはじめ、労働時間と休日を含む様々な労働条件改善策により、若者に魅力ある職場環境を実現していくことが大切だと考えます。

会議のまとめ

和歌三社長
では、「職場環境と労働条件の改善」、「若い人材の確保と定着」、「生産性の向上」の3点に意見集約できたようなので、今後、賢説課長を中心に実践方法を検討してください。
賢説課長
それでは、社内で働き方改革推進検討会を設置し、『若者を定着させるにはどうするのか』から検討しましょう。

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