連載

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2018年9月号 No.501

HOPE 料理人から建設の世界へ チームワークで取り組む仕事の達成感は格別

松下智也さん
1995年8月生
鹿児島県出身
藤田建設興業株式会社

増田海さん
1997年3月生
鹿児島県出身
株式会社型枠久保組

料理人から建設職人へ――。
種子島出身の松下智也さん(23歳)は地元の日本料理人、鹿児島市出身の増田海さん(21歳)は市内でフランス料理人として働いていた。共に夜も遅く不規則な生活を送りながら、「このままでいいのか」と自分の行く末を案じていた。友人や知り合いにも相談し、意を決して飛び込むことにしたのが建設の世界だった。
未就職者のうち建設業への就職を希望している者を対象とし、建設業の技能習得、資格取得、就職支援をパッケージで実施する「建設労働者緊急育成支援事業」で行われた職業訓練(鹿児島市内)に参加した。とび、鉄筋、型枠といった現場作業を体験しながら、フォークリフトや玉掛けといった現場ニーズの高い複数の資格が無料で取得できる訓練だ。ここで2人は出会った。
昼夜逆転の生活から、朝が早い建設の仕事に就くことには多少の不安があった。参加する訓練生の年齢はまちまちであったが、仲間意識が強かったことに後押しされ、徐々に不安が払しょくされていった。何より、建設の仕事が「チームワークで成り立っている」と実感する事ができた経験は、これからこの世界で生きていく上での大きな糧となった。
訓練修了後、2人はそれぞれ鹿児島県内の会社に就職し、職人としての道を歩み始めた。そこでいずれは「学校や図書館のように、皆が集まる施設をつくる仕事に携わりたい」(増田さん)など、職人として働く自身の青写真を描いている。
「ものづくり」という意味では料理の世界も共通する。違うのは、建設業では自分が携わった仕事が形として残り続けることだ。「できあがったときに得られる達成感ややりがいは格別のものがある」。2人は訓練でさまざまな職種を体験し、そんなことを感じていた。
取得した各種資格は、すぐに仕事に活かせるし、何より「未知の世界に入っていく上での自信につながる」。2人は訓練に参加できたことに感謝しつつ、踏み込んだ新たな道で頑張っていく所存だ。

 

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