建設経済の動向

建設経済の動向
2025年12月・2026年1月号 No 574

住宅リフォーム、確認申請の要否に注意

日経クロステック 建設編集長 佐々木大輔

2025年4月施行の改正建築基準法で、住宅リフォームのルールが変わった。構造審査を省く「4号特例」が見直され、2階建ての木造戸建てなどで行われる大規模なリフォームは新たに確認申請手続きが義務付けられた。工事の長期化、コスト増の恐れがあり、事業者は対応を迫られている。既存不適格の緩和措置など規制内容を解説する。

2025年4月の改正建築基準法の施行が、住宅リフォーム市場に大きな影響を与えている。2階建て木造戸建てなどの建築物の大規模なリフォームにも新たに確認申請手続きが必要になったのだ。施行から半年以上たつが、法運用が読めず、いまだ様子見という事業者も少なくない。

大規模なリフォームとは建築基準法で定める「大規模の修繕・大規模の模様替」に該当する工事を指す。柱・梁、壁、床、屋根、階段などの主要構造部の1種以上について過半の改修を行う場合、確認申請手続きが事前に必要になった。延べ面積100㎡を超える建築物で大規模なリフォームを行う場合は、建築士による設計・工事監理も必須になる。

大規模の修繕・模様替で確認申請が必要か否かを判断するフロー。特に、手を加える箇所が「主要構造部」に該当するかどうかはよく確認する必要がある(出所:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)

違反した場合は罰則が科されるとして、国土交通省はパンフレットで注意喚起している。「建築確認または完了検査を申請しなかった建築主」や「確認済証の交付を受けずに工事を行った工事施工者」は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となる。

住宅リフォーム・紛争処理支援センターが9月に発行した「住宅相談統計年報2025」によると、6月までに受け付けた今回の法改正に関する相談のうち74.1%が大規模リフォーム工事の相談で、その多くが「確認申請の要否」に関するものだった。

「法改正で設備などの仕様変更が発生し追加費用を求められているが、変更する必要があるか」といった消費者からの相談もあったという。施工者は、申請手続きや費用負担などについて、発注者にしっかりと説明する姿勢が求められるだろう。

ポイントは既存不適格の扱い
国土交通省が緩和措置で説明会

国交省は2025年9月から、リフォーム事業者などを対象に「建築物の改修に係る建築基準法のポイント説明会」を全国で実施している。大規模リフォームの確認申請手続きについてポイントを解説するもので、9月12日に東京都で開いた説明会では定員200人の会場がびっしりと埋まり、実務者の関心の高いことをうかがわせた。

ポイントは大きく2点。1点はそもそも確認申請が必要かどうかを見極めることだ。キッチンやトイレ、浴室などの水回り改修や、手すりやスロープなどのバリアフリー改修は、従来通り確認申請は不要だ。

もう1点は、確認申請が必要になる場合に、既存不適格の規定をどう扱うかだ。大規模の修繕・大規模の模様替を行う際は、原則として建物全体を現行基準に合わせる必要がある。だが発注者の負担が大きいため、条件を満たせば既存不適格のままでも工事を進められる緩和措置が設けられている。説明会の資料によると、例えば容積率や建蔽率、壁面後退などは「是正不要な既存不適格」とされている。11月施行の改正建築基準法施行令では、屋根、外壁、軒裏の防耐火性能の規定が緩和措置に追加された。

住宅価格の高騰もあり、新築住宅ではなく、既存住宅ストックをリフォームして活用する動きは今後強まると見られる。国交省は中古住宅の流通拡大を推進するモデル事業を2026年度に始める方針だ。

人口減少などの波を受け、住宅市場の厳しさは増していく。今後縮小が見込まれる住宅市場で生き残るためにも、今回の規制を他社と差別化できる機会と捉え、備えを進めたい。

説明会の皮切りとなった東京会場の様子。定員200人の会場がびっしりと埋まった(写真:池谷 和浩)

 

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