現場の安全12か月!
12・1月 DX活用による新しい安全管理

建設現場での安全活動は日々行われているものの、それでも起きてしまう事故。
本稿では、四季の移り変わり、年中行事、1年の流れなどを踏まえ、毎月のテーマを掲げ、重点的に安全活動を行うことを提案するものです。現場の安全活動をより活発化させましょう!
12・1月 DX活用による新しい安全管理
現場の安全管理に、新しい科学技術の活用が期待されます。そこで昨今、真っ先に思い浮かぶのはDX(Digital Transformation)の活用です。
例えば、Web活用、デジタル巡視、ドローン撮影、AI活用などのデジタル技術があげられ、効果的・効率的に労働災害防止を進めることが可能です。安全管理者が、現場の実態をより詳細に把握する手段となり、有用な対策を打ち出すことにつながります。
なお、令和6年6月、厚生労働省の通達(基安安発0628第1号)により、労働安全衛生法第30条における統括安全衛生管理業務の一つである「作業場所の巡視」について、これまで目視に限られていましたが、定点カメラやモバイルカメラ等のデジタル技術を活用した遠隔からの巡視が加わりました。
事例1 Webカメラによる常時監視
複数のタワークレーンにWebカメラを取り付け、作業中は、常時、作業状況を録画、監視しています(外部の専門業者による)。不安全行動をみつければ、即座に関係者に通知されます。

事例2 オンライン安全ミーティング
スマートフォンやモバイルパソコンなどを用いて、現場監督と職長等が参加するオンラインによる安全ミーティングが行われています。各職種による労働災害の傾向(ヒヤリハット含む)等を共有することにより頻発労働災害を防止し、日々のKY(危険予知)活動にも役立っています。

事例3 Web動画スマホ配信による作業員教育
Web動画配信を活用し、直接作業員を教育する取り組みです。
協力会社の安全衛生教育を支援するため動画教材による「Web教育講座」を開設し、全国の現場で働く職長、作業員を対象に、スマートフォンを使って「ヒューマンエラー対策」「安全の基本」「心と身体の健康対策」などを配信しています。
全24動画で1動画8分程度と短時間で学ぶことができ、受講後は確認テストが行われます。労働災害につながりやすい不注意、場面行動(反射的な行動)など人間のたよりない行動特性を十分に理解させ、不安全行動の抑止につなげます。場所と時間を選ばず受講できる点が特徴です。1年間で約17,000人が受講しています。
事例4 KY活動アップデート
毎日、現場では作業開始前にKY活動が行われていますが、マンネリ化、形骸化の声が少なくありません。また、効果的に行われていないおそれもあります。
そこで、KY活動の水準向上のため、本社で一元的にKY活動を管理する取り組みが行われています。タブレット端末を使い、そこに現場に潜む危険の選択肢が示されるなど、効率的・効果的にKY活動が行われるよう支援しています。全国のKY活動を一元的に管理することで、どこの現場がどのようなKY活動を行っているかを把握でき、マンネリ化する現場には注意を与えるなどKY活動の活性化につなげています。
ただ、どうしても1人で行う作業もあるのが実情です。こうした現場では、スマートフォンで個々に危険の洗い出しを可能にする、1人KYアプリがあります。例えば、自らの本日の作業を入力すると、あらゆる危険を想定し示すなどのサポートメニューがあります。また、スマートフォンでは、自分の現場に潜む危険情報を見ることができるシステムもあります。担当の工事を選択すると入場日と時刻が自動で入力され、事前にKY情報が確認できます。

事例5 ドローンで屋根点検
ドローンは、狭所や高所などの危険な箇所の点検にも有用です。ドローンを使った屋根点検では、人が行う場合に使用するハシゴなどからの墜落災害を防止することができます。


高木 元也 (たかぎ もとや)
独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域特任研究員 博士(工学)
名古屋工業大学卒。総合建設会社にて施工管理(本四架橋、シンガポール地下鉄等)等を経て現職。現在、建設業労働災害防止協会「建設業における高年齢就労者の労働災害防止対策のあり方検討委員会」委員長等就任。
[主な著作等]NHKクローズアップ現代+(あなたはいつまで働きますか?~多発するシニアの労災他)、小冊子「現場のみんなで取り組む外国人労働者の災害対策・安全教育」(清文社)他。
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