FRONTIER
「間違ってもいいから、思いどおりに!」先輩の言葉を胸に、新たな現場に臨む電気工事士。
近藤 あゆみさん
東陽電気工事株式会社
福島県出身
福島県に本社を構える東陽電気工事株式会社で、現場施工と社内業務の両面で活躍する近藤あゆみさん。2024年、全日本電気工事業工業組合連合会主催の第5回電気工事技能競技全国大会にて、女性の部東北代表として出場し、金賞および国土交通大臣賞受賞という快挙を見せている。
「高校3年生の時に先生から電気工事士の資格を勧められて、初めてこの職業を知りました。その後、先生のご紹介で東陽電気工事を知り、入社を決めました」。きっかけは偶然の出会いだったが、今では確かな道として歩み始めている。入社後は工場や学校、公共施設など、幅広い現場を経験。「電気工事士の仕事は外線工事や内線工事など幅広く、現場も一般住宅から学校、工場、信号機など多岐にわたるため、覚えることが多い点が大変。そうした中でも、自分たちで施工方法を考え、手を動かし、完成したものがきちんと動いているときにやりがいを感じます」と、この仕事の面白さを語る。
3年目を迎えた現在では、先輩のアドバイスをもとに自身で判断しながら仕事に向き合う機会も増えてきた。「若手中心で任された新築事務所の現場では、業者間のやりとりなど、学ぶことがたくさんありました」。最近は社内で建設ディレクターの資格を活かし、現場資料や見積作成などの業務にも挑戦するなど、活躍の場を広げている。そんな近藤さんにとって、特に印象深い言葉がある。「先輩からの『間違ってもいいから思いどおりにやってみて』という一言です。以前はできるだけ失敗を避けたいという思いが強く、わからないところがあると立ち止まってずっと悩んでしまうことが多かったのですが、どんどんチャレンジしていいんだ、と心に響いた言葉です」。
電気工事技能競技大会への出場も、石川社長からの勧めがきっかけだった。「大会に向けて、半年以上練習を積み重ねました。途中、プレッシャーで元気がなくなった時期もありましたが、先輩が定期的に声をかけてくれたことで、気持ちを立て直せました」。本番当日は、社長や職場の仲間が会場で見守るなか、練習どおりの力を発揮した。
「普段の職場も本当にアットホーム。朝礼では1分間スピーチがあって、プライベートな話もしやすい雰囲気です」。そんな温かい社風も、彼女の成長を後押ししている。研修制度についても、「教わる側として学ぶだけでなく、教える側としても関わることで、また違った視点から学べるのが良い点です」と話し、未経験からでも周囲のサポートと環境があれば成長できることを実感している。
今年は2級電気工事施工管理技士の資格取得を目指しているという近藤さん。「将来的には、現場代理人として現場調査から完了まで自分で担えるようになりたいです」と、目標を語る。「建設業はきついというイメージがあるかもしれませんが、今は環境が整ってきて、女性でも働きやすい職場が増えています。いろんな人が活躍できる仕事であるということを、証明していきたいです!」まだ始まったばかりの近藤さんの歩み。その真摯な姿勢と努力の積み重ねが、確かな未来を築いていく。
東陽電気工事株式会社
代表取締役
石川 格子 氏
当社では、社員に“安心して失敗できる環境”を提供し、その経験を通して成長してほしいという思いを持っています。それを体現する研修棟は、当社社員だけでなく、他の企業様の研修にも大いに活用していただいています。今後は同業種間の横の繋がりをさらに広げ、強めていくとともに、入社後に資格取得を支援する制度など、業種に関わる資格を持っていない方でも活躍できるような仕組みに工業高校と一緒に取り組むなど、業界全体の発展に貢献したいと考えています。
建設人材育成優良企業表彰『不動産・建設経済局長賞』を受賞
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