FRONTIER

FRONTIER
2024年12月・2025年1月号 No.564

「ハードな現場が大きな成長の力に!」建物や空間に美しい表情を与える決め手となる塗装工事

建設の最前線へ!

田島たじま 尚怜ひさとさん
佐藤興業株式会社
東京都出身

「塗装の道に進んだきっかけは、工業高校生の頃に参加した佐藤興業のインターンシップでした」。そう話すのは、佐藤興業株式会社で建築塗装に携わる田島尚怜さん。「テーマパークやアトラクションの特殊塗装工事といった仕事内容に興味を覚えたことから、インターンシップに参加しました。初めて参加したときからその楽しさに惹かれ、2年生・3年生の夏と冬、計4回にわたって参加したほどです。“自分の仕事はこれだ!”と、そのまま入社を決めました。周りから見ると塗装の道に進んだことは意外だったようですが、とにかく仕事が楽しそうなこと、デスクワークよりも体を動かすほうが性に合っていたことなどから、入社に迷いはありませんでした」。

入社後まもなく、研修を経て臨んだのはアパートの改装工事。壁の塗り替えが初の現場作業だった。「床の養生から塗料の準備まで、初めてのことばかり。最初は求められることがこなせず、失敗しては叱られました。周りはほとんどの方がベテランで、現場で行き交う専門用語に戸惑うことも多かったです」。そうした状況でも気になることは何度でも尋ね、成長してきた。「わからないことは曖昧にせず、物怖じせず、どんどん質問して解決するタイプ。そうすることが品質・効率ともに良い仕事につながります。年長者の多い現場でも、私の場合はまったく気になりません。真剣に質問すれば、こちらに合わせて丁寧に教えてくださいます」。

そんな田島さんにとっての目標は、入社1年目に出会ったベテラン職長。豊富な経験に基づいた統率力と威厳を持ち、力強く現場を指揮するその姿は、田島さんにとっての理想像だ。「手がける仕事一つひとつの質の高さや、現場への向き合い方など、非常に多くのことを学ぶことができました。ときには難易度の高い指示もありましたが、培ってきた実績があるからこそ職人たちも指示どおり的確に動きます。それほどの信頼を築いてきたということも含めて、私が手本とし、目標としている存在です。また、私自身もハードな現場を経験できたからこそ大きく成長でき、今の自分があると実感しています。“若いときの苦労は買ってでもせよ”とありますが、まさにそのとおりですね」と笑顔を見せる。

現在は工程の管理から他職種との調整、後輩への教育も行うなど、現場でも頼りにされる存在に。「指導する立場にもなった今は、何もわからなかった頃の経験も財産。相手の立場に立って教えることができているように思います」。心がけているのは“綺麗に仕上げる”というシンプルな原則だ。「塗装の仕上がりは、そのまま建物の外観や空間の印象に直結するので、仕上がりが悪ければすぐにわかってしまうものです。塗りムラがないか、色味が美しく出ているかなど、綺麗な仕上がりを意識して責任を持って仕事をすることが、今の自分に求められる役割です」と、丁寧な作業の大切さを強調する。

一級塗装技能士の資格を取得し、次に目指すは登録建設塗装基幹技能者の資格取得。そして、さらなる現場での活躍だ。「多くの職人をまとめられる信頼と、スムーズに工事を進める力を身につけたいです!」と、力強く未来を見すえる。


佐藤興業株式会社
代表取締役社長
佐藤 東平 氏

「性別で門戸を閉ざさない」という方針の下、多様な人材が活躍できるように個人の特性を確認し、配置・育成することにチャレンジしてきました。また、社員の「なりたい自分」を応援し、技術研修や職人グループの組織化などにも取り組み、2015年時点の女性職人・施工管理職0名から23年は全職人社員のうち女性職人比率約24%、全従業員の女性比率31%にまで増加し、性別問わず毎年コンスタントな採用に結び付いています。今後もお互いの特性を尊重して、各々の強みを最大限発揮でき、弱みはカバーし合う気風を育てていきたいと考えています。

建設人材育成優良企業表彰『優秀賞』を受賞

 

【冊子PDFはこちら

関連記事

しんこう-Webとは
バックナンバー
アンケート募集中
メールマガジン配信希望はこちら