FRONTIER

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2023年4月号 No.547

「オレのところに来てほしい!」豊かな経験と技術でみんなを引っ張る現場の花形。


植村うえむら 義治よしはるさん
株式会社 大木組
(鹿島事業協同組合連合会)
兵庫県出身

あらゆる建設現場で先陣を切って足場や鉄骨を組み上げ、仲間と連携しながら高所での作業をこなすプロフェッショナル──現場の花形と謳われる鳶職に就き、30年以上のキャリアを積んできた株式会社大木組の植村義治さん。様々な大型複合施設の建設や大規模再開発などに携わり、現場のリーダーとして活躍を続けている。「鳶職として働いていた父のすすめでこの世界へ入りました。まだかけだしの頃、初めての高層ビル建設の現場では“こんなに高い場所で仕事をするのか”と足がすくみました。また20代で職長会会長となり、千人を超える作業員の方々の前で挨拶をする場面では、自分でも何をしゃべっているのか分からなくなるほど緊張したことを覚えています(笑)」と若手時代を振り返る。

そうした経験を積み重ね、多くの人に頼られる存在となった植村さん。業務を円滑に進める工夫は、他の職種の方や現場の仲間とのコミュニケーションに尽きると話す。「現場では様々な職種の方が動いており、近年は外国人技能実習生たちも活躍しています。そうした中で適切な意思疎通を図るには、こまめな声がけが欠かせません」。あわせて心がけていることは、現場周囲の状況把握だという。「取り巻く環境も、その現場ごとに様々です。風が強く足場が組みづらい場所もあれば、敷地が狭くて大型機材が入りづらい場所、付近に小学校があるため登下校に影響が出ないよう規制すべき場所など、周囲の状況により配慮すべき点も異なります。大切なのは、周辺地域に対して常に“仕事をさせていただいている”という意識を持つこと。そうした心構えをしておくことが、自ずと安全で円滑な仕事につながります」。

長く鳶職として活躍する植村さんに、やりがいをもって働き続けるためのポイントも伺った。「若手の頃は、いかに素早く、安全かつ正確に足場を組めるかを重視し、そうした仕事に対して先輩たちから“流石だね!”と褒めていただくことに充実感や達成感を覚えていました。携わった仕事をきちんと評価してもらうことは、やりがいに直結すると感じています。また働き続けるための基本は、やはり健康管理。ストレスをためないために、私も休日にはジョギングやキャンプでリフレッシュを図っています」。

次世代の担い手不足が大きな課題となっている建設業。入職を迷う若者に「まずは、一度やってみてほしい」と植村さんはエールを送る。「建設業は、社会になくてはならない仕事。ものづくりを通して若い方々にも、この仕事でしか得られない充実感や達成感を味わってほしいです。ベテランの力を新しい世代に伝えられないのは、すごくもったいないこと。大木組が加盟する鹿島事業協同組合連合会も、技能体験会などを通じて建設業の魅力を伝えており、私もそうした活動に参加しています。入職を迷っている方や伸び悩んでいる若手がいるなら、みんな“オレのところに来てほしい!”と思っています。今まで培ってきた経験や技術を、あますことなく伝えていきたいです」。


鹿島事業協同組合連合会理事長
徳間 昭則 氏

先ずは、この度の建設人材育成優良企業表彰『国土交通大臣賞』の受賞に際しまして、関係各位のご尽力に厚くお礼申し上げます。

働き方改革関連法(2024年問題)の建設業や中小企業への適用も近づいており、輪をかけて昨今の物価高騰も踏まえた上で、建設業従事者の処遇改善を最重要課題として取り組んでまいりました。

現場で働く全ての人々と、組合員企業の事業主の皆様の切実な思いを真摯に受け止め、CCUSへの助成をはじめとするあらゆる施策の拡充と、インフラをフル活用して、今後もより一層、担い手の確保と育成の助勢に取り組んでいく所存でございます。

建設人材育成優良企業表彰『国土交通大臣賞』を受賞

 

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