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2022年11月号 No.543

こどもたちに誇れる天職。コンクリートを形作る型枠大工!!

こどもたちに誇れる天職。コンクリートを形作る型枠大工!!

建物や橋、トンネルなど、様々なコンクリート構造物を対象に幅広いフィールドで活躍する型枠大工。「型枠工事は、例えるならプリンの容器を作る工事。柔らかい液状のコンクリートを流し込み、決まった形に固めるための容器(型枠)を造り込むことが型枠大工の仕事です」。そう語る緒方奈巳さんも、現場で活躍する型枠大工の一人。今取り組んでいるのは、水路函渠(かんきょ)の現場だ。

以前は保育士をしていた緒方さん。「建設業に携わったきっかけは、型枠大工である夫と結婚したことです。自営業なのでいずれは事務などを手伝うかも、とは思っていましたが、まさか現場に出るなんて想像もしていませんでした(笑)」。現場が多忙な時期に道具の持ち運びや片付けなどの手伝いを始めたことが、工事に関わった最初の思い出だ。「お手伝いとはいえ、そこに入れば“現場の人間”。女性だからとか、経験が浅いからといったことは言い訳になりません。現場の皆さんはできるだけ私に負担をかけないよう配慮してくださいましたが、周りに迷惑をかけては申し訳ない…という気持ちのほうが強かったですね」。3級型枠施工技能士の資格を取得したのも、そんな思いが高じた結果だった。「資格を取得することで仕事を任せてもらえるし、現場の戦力にもなれる。会社としてもより大規模な仕事を請けられるので、私自身にも会社にもプラスになりました。ただ、専門用語や知識の習得も大切ですが、現場で“見て覚える”しかない技術やノウハウもまだまだたくさんあります。周りの皆さんの温かなサポートの中で、日々目を凝らして動きを学び、自身の手で繰り返していくことで、さらに現場の力になれるよう成長していきたいと思います」。

女性の入職や定着にも注目される昨今、ご自身の働き方についても伺うと「もちろん夏の暑さや冬の寒さ、現場の厳しさなどもありますが、楽しいこともいっぱい。以前より現場が整備され、女性の働きやすさも向上しています。また前職と比べて、しっかり休憩がとれるようにもなりました。休憩中には周りと世間話をしたり、経験豊富なベテランの方の話を伺ったり、同じ趣味の話で盛り上がったりと、充実した時間を過ごしています。働く環境としてはすごく恵まれています」と話す緒方さん。「自分たちが仕事をした現場をこどもたちに見せると『すごい!』と喜んでくれるし、『お母さんみたいな型枠大工になりたい』とも言ってくれて、とてもうれしかったです。そうしたやりがいを感じられるのは、この仕事の醍醐味ですね」と笑顔を見せる。

前職と現在とでは全く異なる仕事にも思えるが、今に活きている部分も多いそう。「はじめて仕事をする方とも笑顔で話したり、自然にコミュニケーションがとれたりするのは、多くのこどもや保護者の方と関わってきた保育士の経験が活きています。そんな保育士時代も懐かしいですが、今は型枠大工こそ本当の天職だと感じています」。次なる目標は2級型枠施工技能士の取得と話す緒方さん。その笑顔と誇りある姿に、こどもたちが憧れるのも当然だ。

 

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