連載

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2022年10月 No.542

教育の必要性

適正な時間管理をすることで、本来の残業時間が洗い出されます。生産性をあげていくためには、残業時間の原因を個別に検証していくことが必要です。業務改善により仕組みを見直し、業務の標準化、マニュアル化、IT化をしていくのは必須ですが、もう1つ考えなくてはいけないのは、個々人のスキルの問題です。いくら仕組みを整えても、使う側のスキルをあげていかないと相乗効果は生まれません。新規採用には時間もお金もかかります。今いる社員の方をしっかり教育をし、スキルアップを目指しましょう。

1.教育体系図の整備

教育についてはOJT(On the job training)といって、日常の仕事を通じて必要なスキルや知識を身につける教育と、Off-JT(Off the job training)といい、通常の業務から離れ、特別に時間や場所をとって行う研修のことをいいます。中小企業においてはOJTが中心ですが、会社としてそれぞれの段階でどういうスキルが必要なのかを明確にし、その段階でどのような研修が必要なのかを決めていくことが重要です。例えば、入社3ケ月目までにはどういったことを覚えてほしいのか?どこまで成長してほしいのか?といった内容を「見える化」することが大切です。会社としてせっかく教育をしても、うけている方は全体像がみえなければ不安です。この会社で働くことにより、どういったキャリアを身につけることができるのかを周知していくことが重要なのです。特に建設業の場合は他業種と違い、技能講習、特別研修、安全教育、また資格等も必要な業種になるため、どのような教育や資格が必要なのか整理をしていきましょう。教育体系図というとものすごくハードルの高いような感じがしますが、難しい研修ではなく、普段やっている研修を見える化することからはじめていきましょう。

(例)教育体系図

  階層別 専門 資格支援
社内 技能講習・特別教育
一般職
  • ビジネスマナー
  • 会社のルール
  • 建築の基礎
  • フォークリフト
  • 玉掛け
  • フルハーネス
  • 1級建築士
  • 2級建築士
  • 1級施工管理技士
  • 2級施工管理技士 等
リーダー
クラス
  • リーダー研修
 
  • 作業主任者
管理職
  • 管理職研修
  • 人事考課者研修
   

 

2.助成金の活用

教育にあたっては時間と費用がかかります。自社だけで実施することが難しい場合、外部研修をうまく利用をしていくことも重要です。また雇用保険では、建設事業主に対して、教育に対する助成金もあります。助成金を活用して、教育していきましょう。

人材開発支援助成金 ▶︎ 000970989.pdf (mhlw.go.jp)

3.他社事例

ITが苦手な人に社内研修
社内で普段デスクに向かう時間の少ない方等は、急激なITの進化についていけないケースがあります。そこで社内でIT好きな人が講師となり、「業務で使えるエクセル研修」「アウトルックの使い方」「見積もりソフトの簡単使用法」といった、社内で使いこなせたら、業務が楽になりそうなことを、1回30分程度の短時間で研修をし、誰もが最低限の使いこなしができるようになりました。

「みて覚えろ」研修
お手本となる先輩職人の作業工程ごとの画像をとりため、新入社員には現場に出る前に、その画像をみてもらいます。そしてその画像と同じ動きを本人がし、その本人の動きの画像撮影をします。その後、先輩職人と本人との画像を比較することで、自分に何が足りないかを理解してもらいます。今までの「みて覚えろ」を、今風にスマホで残し、それを何度も繰り返しみることで、仕事を覚えることが早くなりました。

 

まとめ

丸山社長
そういえば、木村くんは、ITは得意だけど、文書を書いたりするのは苦手だったな。彼の残業は、作業日報が手書きだったからかなー。
鈴木課長
そういえば彼は文字を書くのが得意ではなかったような・・・。
  高橋さん
社長、きっとそうですよ。作業日報もシステム化すれば木村くんの残業もなくなるはずです。
  櫻井先生
そうですね。木村さんがIT得意なら、システム導入をし、木村さんが社内の推進役になるといいですね。
丸山社長
木村くんが講師役かー。楽しみだな。
木村くん
みんなひどいなー。でも手書きが本当に苦手なので、システム入れたら頑張ります!!

 

 

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