FOCUS
台風被害の名残を課題研究で一掃!身近なことをきっかけに都市計画を意識する
身近にある土木遺産 都市計画を意識するきっかけに
また同校の周辺には、都市計画を知るきっかけとなる土木遺産が多くある。その代表が江戸時代につくられたという、多摩川を水源とした人工用水「二ヶ領用水」だ。二ヶ領用水の水を下流の4つの地域へ正確に分けるためにつくられた「久地円筒分水」と併せ、学校行事「施設見学」などで訪れ、歴史的に重要性が高い土木遺産に触れる機会を設けている。
「久地円筒分水は1998年に国の登録有形文化財に認定、二ヶ領用水は2020年に国の登録記念物となっています。徒歩で行けるような身近な範囲内に、こんな土木遺産があるというのはそうそうある環境ではありません。建設科の生徒にぜひ知ってほしいと思い、学校行事以外でも学期末の特別時間割などに足を延ばしています。江戸時代の人たちが当時の技術をもって農耕を助け人々の暮らしを豊かにしてきた施設を見学することが、都市の整備について考えるきっかけになればいいなと思っています」
ICTを活用した学びの可能性
教育のデジタル化にも積極的に取り組んでいる同校は、Google Classroomを活用し授業を展開している。前場先生も座学ではプリント配布や授業後のアンケートなどでClassroomを活用。特に、課題提出時に重宝しているという。
「授業の板書をノートにまとめて提出するという課題を出しているのですが、授業後には板書を撮って、Classroomにあげています。Classroomを見れば『今日の授業で何をしたのか』が分かるので、欠席をしてしまった生徒も課題ができるので遅れを防ぐことができます」
また昨年のコロナ禍では、4月~7月は生徒の登校ができない状況が続いた。学校に来ないと実習はなかなか難しい中でもClassroomを活用し、学びを止めないよう取り組んだ。
「実習をオンラインで行う際、当初は実習内容を動画であげていたのですが、パケット数の制限もあり『課題ができなかった』という声も少なくありませんでした。これは、配慮しなければならない点です。そこで、実習概要をまとめたプリントとともにどんな授業・実習だったのか詳しい内容が分かるものを一緒にあげるようにしました。例えば、材料実験であれば、実験したものの試験結果を記録した試験報告書の用紙のようなものです。プリントだけではなかなか分かりづらい部分を、動画以外で補う方法ですね」
これからさらに本格化していく教育のICT化。様々な課題に直面しつつも、学びの可能性拡大のために前場先生もチャレンジしている姿が印象的だ。
グループとなって研究活動を行う「課題研究」。流し台や食堂前のテーブルの整備などひたむきな取り組みを通して、
基礎基本だけでなく、仲間と協働することの大切さも学んでいく
校内実習のほか、オンラインでの実習の機会も増加した昨今。生徒たちの学びを止めないよう努めた
二ヶ領用水 久地円筒分水 神奈川県で最も古い人工用水である「二ヶ領用水」とその分水施設である「久地円筒分水」。徳川家康の命により農業用かんがい用水路としてつくられた二ヶ領用水は、国の登録記念物です。春には桜が咲き誇り、市民の憩いの場として親しまれています。 |
神奈川県立向の岡工業高等学校
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