FOCUS

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2021年4月 No.527

インフラメンテナンス課題にメス!建設業界への高い就職率を誇る“岡山道路パトロール隊”とは?

創立120年の歴史と伝統を誇り、地元では「岡工」の愛称で親しまれている岡山県立岡山工業高等学校。同校土木科では、社会問題のひとつであるインフラメンテナンスに着目した課題研究「岡山道路パトロール隊」が生徒たちに人気だ。また、この課題研究は同校だけにとどまらず、岡山県下の工業高校土木科にも波及。この先導役として道路パトロール隊を率いる狩屋雅之先生に詳しくお話を伺いました。

フィールドは“道路” 社会の一員としての活動

岡山道路パトロール隊のフィールドは、生徒たちが普段使っている学校近隣にある国道。道路の施設管理をする国土交通省と、該当区間の維持工事を担当する企業の協力を得て、生徒は徒歩でパトロールをする。発見した異常や破損は、どんなに小さなものでも報告書という形で国土交通省に提出。課題研究という学習の一環ではあるが、社会の一員としてインフラメンテナンスの一翼を担っている。

学校敷地外の“社会”にフィールドを置いたことで得たものは多い。そのひとつに、狩屋先生は“課題解決力”の習得を挙げる。

「学内だけでは、土木技術者として意識すべき最終的なゴールである『そこを利用する人』が見えづらくなります。しかし、社会のインフラである道路をフィールドとして提供いただくことで、生徒は『ここを使っている人が実際にいる』ことを意識することができます。これがモチベーションとなり、責任感が生まれ、小さな異常の発見につながっています。さらに、見つけた異常をどう直そうか、そもそも異常がでないようにするにはどう施工すればいいのか、という課題発見から課題解決につながっています」

平成24年に起きた、笹子トンネル天井板崩落事故を契機に導入したインフラメンテナンスの授業。バージョンアップをしながら辿り着いたのが、「道路パトロール隊」という学びのカタチだ。道路管理者である国土交通省、工事業者の安全管理や品質管理に関する仕事を、共に作業をしながら間近で見ることができるこの課題研究は「さながらインターンシップを毎週3時間やっているようなもの」と、狩屋先生はその効果を話す。

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