FOCUS
木を学び、地域とつながり、人を育てる。関商工建設工学科が紡ぐ“学びの共創”。
『くむんだー』から広がる
学びの輪
2025年度、建設工学科が掲げたテーマは“木育”。その取り組みの中心が、木製ジャングルジム『くむんだー』の製作だ。岐阜県郡上を拠点に活動する『くむんだー郡上』との出会いをきっかけに、地域資源を活かした新たな挑戦が始まった。
「木育という考え方は、『くむんだー』を通して自然に浮かんできました。森林アカデミーや建材メーカーの方々の協力もあってトントン拍子に企画が進み、今年は1年目の挑戦。幼稚園や小学校、地域イベントでの講演やワークショップに参加しながら、木の扱い方を学んでいます」。
生徒たちは、ただ作るだけでなく、地域の子どもたちに“伝える立場”にも立つ。木材を組み立てながら、幼い子どもにやさしく声をかけ、教え合う光景がそこかしこに広がる。
「高校生が小さな子に教えるという経験は、何よりの学び。どう話せば伝わるかを考えるうちに、自然とチームとしての連携力やリーダーシップも育っていきます」。
一方で、木育をテーマにした取り組みは“手を動かす”だけにとどまらない。県産材を扱う建材メーカー『エスウッド』でのオープンファクトリーでは、間伐材からストランドボードを製作する工程を体験。さらに、美濃市地域おこし協力隊の案内で森林散策を行い、森と人との関わりを五感で学ぶなど、社会に求められる持続可能性も見据えた教育プログラムとなっている。
「様々な体験を通じて、木を“資源”としてだけでなく、“人と自然をつなぐもの”として捉える視点が生まれます。そうして自身が感じたこと、考えたことが、将来に活かされることを期待しています」。
まずやってみよう!
共に動き共に学ぶ教師へ
実習助手としての期間を含め、約38年間にわたって工業教育の現場に立ち続けてきた牛丸先生。その歩みの中で、時代の変化とともに教育の形も変わってきた。
「以前は学校というもの自体がもっと閉鎖的で、外部と交わる機会は限られていました。しかし今は、行政や企業、地域と学校とが協力していかないと教育は成り立たない時代。お互いに支え合う関係の中で、教育も進化していく必要があります」。
そう語る牛丸先生が生徒に育んでもらいたいと感じているのが“吸収力”だ。
「企業からは『素直にものごとを受け止め、吸収できるような生徒が欲しい』と言われます。授業においても大切にしているのは、単に教科書の内容を教えるのではなく、なぜその技術が必要か・どうしてその知識が求められているかなどを伝えること。社会に出てからもずっと学び続け、吸収していける力を育てたいと思っています」。
また、後進の教員に向けては、“生徒と共に動く”ことの大切さを説く。
「生徒と一緒に現場に出て、同じ汗をかきながら教える。それが一番生徒に伝わる方法です。プロデュースする力と伴走する力。その両方が、これからの教育に必要な力だと考えます。生徒の中には、座学の授業中にウトウトしていても、実習や課題研究の時間になるとこちらの想像以上に活躍する子もいます(笑)。部活動や文化祭などの勉強面以外も含めて、生徒一人ひとりにトータルに目を配り、その子の得意を見つけてあげることが大事ではないでしょうか」。
木育の取り組みについても、さらなる構想を描いている。
「『くむんだー』の取り組みを発展させ、予算なども活用しながら保育園や小学校向けの事業として展開していけたらと考えています。本校では工業科と商業科が協力して会社経営を実践するプロジェクト『Seki Shoko Company(関商工カンパニー)』にも取り組んでいるので、そうした仕組みを活かしながら多面的な学びが育めるシステムを構築したいです。また、教員の負担を減らすためにも、コーディネーターとなる教員の配置など、持続可能な仕組みづくりを目指していきたいですね」。
まずは“やってみよう!”という心を大切にしてほしいと話す牛丸先生。常に挑戦する姿勢が、生徒と地域との絆をさらに広く、深いものへとしている。

市役所や建築家、地域住民と意見を交わしながら、居心地の良い滞留空間の創出を図ったパークレット『本町ネクスト』。「地域と交流を重ねる中で新たな情報や気づきを得て、それがまた新たな課題の発見にもつながるなど、地域との関わりを起点として発展した取り組みです。多面的なものの見方を育むなど、生徒にとっても貴重な成長のきっかけとなりました」。

森林見学や伐採体験、ストランドボードの製作など、木とふれあう多彩な学びを体験。「チェンソーの音や杉の香り、小川で足を冷やしながらの振り返り…。そうした学校の中だけでは得られない五感を通じた体験が、生徒たちの記憶に刻まれていくことが大切だと考えます。建物の材料として木にふれるだけでなく、地域資源の循環を考える姿勢も育まれています」。
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古民家 あいせき
明治20年建築の木造町家を改修した『古民家あいせき』。多世代が集うフリースペースとして開放され、まちづくり活動や自習、サークル、コワーキングなどの活動拠点となっています。「地域の歴史を受け継ぐ立派な建物が、新たな学びや交流を生む場所として再生されました。インバウンドも注目される時代は、こうした取り組みも大切になってくると感じています」と牛丸先生。 |


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