FOCUS

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2025年12月・2026年1月号 No 574

木を学び、地域とつながり、人を育てる。関商工建設工学科が紡ぐ“学びの共創”。

関市立関商工高等学校 牛丸憲一先生

鎌倉時代から刀鍛冶の伝統が受け継がれ、世界三大刃物産地の一つとして知られる岐阜県関市。この地に根ざす関市立関商工高等学校は、県内で唯一、工業科と商業科を併設する高校です。その中でも建設工学科は、行政や企業との連携を通じて“まちづくり”を実践し、生徒自らの手で地域に関わる多彩なプロジェクトを展開しています。今回は学校という枠を越えて地域とつながる教育を実践する、工業部長の牛丸憲一先生にお話を伺いました。

産官学で歩む
“まちづくり教育”

生徒の学びと地域の課題をつなぐ──そんな建設工学科を象徴する取り組みが、関市都市計画課からの1本の電話をきっかけに始まったパークレット(道路の路肩駐車スペースにテーブル・椅子や植栽を設けるなどした人々が滞留するスポット)創出だ。

「当初は“ウッドデッキのようなものを作れませんか?”とお声がけをいただいたのですが、建築家の友人とも相談し、せっかくなら単にデッキを置くだけでなく、地域に必要とされる“人が集う空間”を創出したいと考え、関市のマークを象徴する三角形をモチーフにした椅子をデザインしました。そこからテーブルや小物掛けを追加し、細部まで生徒と一緒にこだわって仕上げ、まちなかスポット『本町ネクスト』として発表することができました」。

設計や製作を進める中で、市役所や建築家、地域住民など多くの人との協働が生まれた。そこには、学校という枠を越えた学びの広がりがあった。

「地域と関わることで外の目線を知るとともに、新たな情報を得て、新しい課題に気づく。学校だけでは体験できないそんな“まちづくり”のリアルを周りの方々と共体験することで、地域社会人としての力を養っていくことができます。また、地域の皆様から“関商工の生徒が良いものを作った”と認められ、声をかけてもらったりすることが、生徒の自信にもなっていきます。地域とつながることそのものが、学びの起点になるんです」。

さらに、屋台の設計や施工、地域イベントでの発表などを通じて、生徒が自ら考え、主体的に動く姿勢が定着していった。

「今年は例年以上に、生徒が“自分たちで考えて行動する”姿を目にしています。放課後に自主的に作業したり、現場見学の後に自分たちの意思で別の建物を見に行ったりと、学びが“与えられる”ものから、“自ら探す”ものへと変わってきたように感じます」。

地域と学校、教員と生徒、そして学科を越えた学びの連鎖が、生徒の生きる力を育んでいる。

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