FOCUS
“できる”を育て、前に進む生徒を支える。積み重ねで拓く、建築教育のあした。
島根県内で最も伝統ある工業高校として118年の歴史を刻み、まもなく創立120周年を迎える島根県立松江工業高等学校。建築都市工学科では、建築デザインコースと都市工学コースに分かれて実践的な教育を展開しています。今回は教員歴38年のベテランとして、昨年度まで同科の科長を務め、今年度は1年生の担任として再び最前線で指導にあたっている山田晋吾先生に、同校が力を入れている資格取得の取り組みや生徒たちへの想いを伺いました。
段階的に自信を培い、
力を養う資格教育
「建築を学ぶ高校生にとって、資格取得と設計教育は大きなポイント。特に施工管理の資格は、社会に出たときに大きな武器となるものです。その取得に向けて、授業や放課後の補習などでサポートしているほか、過去問題を学習できるアプリなども活用し、家庭学習やスキマ時間にも学べるよう図っています」。
2級建築施工管理技術検定(第一次検定)の“全員合格”を目標に掲げる同校。昨年度は、建築デザインコースの3年生16名全員が合格を達成している。その裏には、生徒のモチベーションを高め、やる気を引き出す細やかな指導があった。
「最初はモチベーションの低い生徒も、過去問題を繰り返し、点が取れるようになってくると面白みを感じてくるもの。そうすると勉強に対する意欲がわき、自主的に取り組んでいけるようになります。重要なのは、そうしたやる気のスイッチが入る地点まで生徒を持っていくことです。そのための土台づくりとして、まずは危険物取扱者資格や建築CAD検定などの比較的挑戦しやすい資格取得に臨み、“できる”という感覚を養わせるようにしています。“できる”体験を重ねて段階的にレベルアップを図っていくことで、施工管理の資格に挑む頃には“こんなに勉強したのは初めて”という生徒もいるほど。そうした生徒の姿からも、やる気が成長につながっていることを実感できますし、無事に合格したときには私たち教員の喜びもひとしおです」。