FOCUS

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2025年4月号 No.567

夢を語り、未来を築く。生徒とともに歩む建築教育の現場!

松山聖陵高等学校建築科 重久篤史先生

全国にその名を知られる道後温泉や歴史ある松山城など、文化と伝統を感じられる街並みが広がる愛媛県松山市。この地に1961年に開校した松山聖陵高等学校は、地域や企業と連携しながら日々生徒の学びを育んでいます。今回は、同校建築科にて3D CADやBIM(Building Information Modeling)などを教える重久篤史先生に、生徒の力を伸ばすための具体的な取り組みや、建築教育への想いなどを伺いました。

資格取得や体験を通して
確かな力を培う!

“豊かな発想を備えた技術者の育成”を掲げる建築科。建築の基本である製図・実習を通して確かな力を育み、クリエイティブな仕事ができる人材の輩出を図っている。

「1年次は全員が同じスタートラインに立ち、ものづくりに関わる工業技術基礎や製図などを学びます。そうした基本を積み重ねたうえで、2年次からは建築CAD設計を中心とした“技術コース”、木工実習を中心とした“マイスターコース”、インテリアに関する資格や技能検定などの取得を目指す“インテリア・資格コース”に分かれ、生徒それぞれが自分に適した学びを選べる仕組みをとっています」

資格取得に向けては、1年次から積極的なサポートを試みている。

「資格を取ること自体も目的ですが、早期から資格取得を目指して懸命に学習する・物事にチャレンジすることで、社会人になっても役立つ習慣を身につけてもらうことが大きな狙いです。2級建築士を取得し、ゆくゆくは1級建築士を取得するといった際にも、そうした習慣を持っていることが大きな武器になります。また、ジュニアマイスター顕彰も一つの指標になるため、在学中にジュニアマイスターのゴールド、さらにはその上の特別表彰などにも手が届くよう、最大限のサポートを図っています」

地域の企業や団体と連携した出前授業や現場見学会なども、生徒が成長するための貴重な機会だ。

「出前授業では左官や大工、鉄筋やタイル貼りなどをわかりやすく解説していただいたり、様々な技能の体験をさせていただいています。企業の皆様には資格試験などでも手厚くサポートしていただき、非常に大きな支えと感じています。また、様々な現場見学会でもお世話になっており、先日は生徒たちと建物の解体現場を見学することができました。授業の中ではRC構造や木造工法などを学び、スライドで実物の写真を見る機会もありますが、やはり本物の解体現場で実際の様子を見て、触れて、感じることで確かな理解が進みます。そうした体験を重ねることで、生徒の意識が変わっていくのを感じますね」

企業へのインターンシップも、生徒の意識を変えるきっかけの一つだ。

「本校では教員側から、生徒が希望する企業の皆様へインターンシップ参加のお願いをしています。インターンシップ後は、どのような体験をしてどう感じたかを生徒にヒアリングするほか、引き受けてくださった企業に直接伺い、ご指導してくださった上司の方とコミュニケーションをとったりもしています。出前授業や現場見学会、インターンシップなどは、生徒の学びにつながるのはもちろん、“聖陵にはこういう生徒がいる”と認識していただくための貴重な機会。双方に良いものとなっていけるよう、さらに力を入れて取り組んでいきます」

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