FOCUS
“生徒と一緒に楽しむ”授業で育む、新たな力。建設業の楽しさを知り、多くの生徒が土木の道へ!
“県工(ケンコウ)”の愛称で親しまれる、創立126年目を迎える広島県立広島工業高等学校。広島県の工業教育の拠点校として、産業界をはじめ経済界やスポーツ界などでも著名人を輩出している同校では、近年より『県工・未来創造学習(KenPro)』に取り組み、次代を担う新たな力を育んでいます。その目指す先や具体的な活動内容、生徒に向ける想いを、同校の出身でもある土木科の瀬戸俊介先生に伺いました。
3年間を通して様々な力を培う
『県工・未来創造学習』
3年間の学習を通して生徒自ら課題を発見し、ものづくりにより解決する力を育む『県工・未来創造学習(KenPro)』に取り組む同校。1年生ではPBL(Project Based Learning)、2年生ではFabLab、3年生では5学科(土木・機械・電気・建築・化学工学)横断課題研究に臨み、系統的な学びを進めている。
「1年生で取り組むPBLは、工業を学ぶ意義や、本校での学びがどのように社会につながっているかを学習するもの。PowerPointを使った授業を継続して実施しており、生徒自身の考えを引き出しつつ、グループでの協議などを通じてディスカッションする力や議論を集約する力を育んでいます。2年生で取り組むFabLab はその発展形として、企業などから出される課題の解決を図る授業を行っています。例えば昨年は広島港湾振興事務所様と連携し、広島市と瀬戸内海の島とを結ぶ橋のデザインや、海洋ゴミの効率的な回収方法などを課題として出していただき、どのように課題を解決できるか、どのように付加価値を持たせられるかといったアプローチをデザイン思考などをもとに探りました。そして3年生では、学科の枠を越えて1つの目標に向き合う5学科横断課題研究として校内の池や周囲の整備に取り組むなど、専門性の高い技術や知識を身につけるとともに、アイデアを実現する力を培っています」
グループ単位で進める取り組みやデザイン思考を働かせるものづくりなどは、生徒にとっては一見難解にも感じられそうだが、いざ始めてみると皆楽しそうに取り組む。
「経済産業省が進める『未来の教室』実証事業や、他の学校の事例なども参考に始めたものですが、生徒たちは面白そうに取り組んでいます。普段の学習とも違うものだし、今までの考え方とは異なる別の視点から物事を見るのは、彼ら自身にとっても新鮮で楽しい体験なのでしょう」