特集

特集
2026年2月号 No 575

「労務費に関する基準」について

3 労務費基準の実効性を確保するための施策

3-1. 実効性確保策の意義

労務費基準の実効性を確保し、技能者の処遇改善を実現するためには、「上流から下流へ価格が決まる」構造により労務費を値下げの原資とした価格競争が行われる状況を変革し、「下流から上流へ価格が決まる」構造、すなわち技能者の賃金原資等を適正に確保しつつ、受注者の技術力や施工の質、生産性向上に向けた取組等の要素により競争がなされて価格が決定される環境を構築する必要がある。

この目的は、単に労務費基準が示されることをもって当然に達成されるものではなく、実効性確保策を適切に講じることが不可欠である。この認識を踏まえ、労務費基準の中で、「契約段階(入口)」「支払段階(出口)」の両面における実効性確保策を位置づけることとしている。

3-2. 契約段階における実効性確保の取組
  • ①必要経費の取扱い明確化
    労務費の確保に当たり、労働者の処遇に必要な他の経費へのしわ寄せを防ぐため、これまでも、適正な確保を求めてきた経費(法定福利費の事業主負担分、安全衛生経費、建退共掛金)を、見積書における内訳明示の対象として位置づけ、著しく低い額での見積り等を禁止するとともに、基準値の公表時に「雇用に伴う必要経費」を含んだ額を参考値として公表する。
  • ②労務費等を内訳明示した見積書の提出の促進
    中小の建設業者や一人親方も含め、労務費等を内訳明示した適正な見積書を作成する商慣行が形成されるよう、取組を進める。
  • ③「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」による技能者の処遇改善を進める事業者の見える化
    技能者を大切にする企業の取組を可視化し、その評価を向上させ、受注機会の確保等につなげる。
  • ④労務費基準を著しく下回る見積り・契約への指導・監督
    労務費等を内訳明示した見積書について一定期間の保存を義務付けるとともに、違法性のあるケースにおいて許可行政庁による適切な指導・監督がなされるよう、建設Gメンによる調査・助言を進める。
3-3. 支払段階における実効性確保の取組
  • ①CCUSレベル別年収の支払い
    技能者の技能・経験に応じた公共工事設計労務単価並みの水準の適正な賃金として、CCUSレベル別年収を位置づけるとともに、目標値と標準値の2つの水準の値を設定し、目標値の支払いを推奨し、標準値を下回る支払い状況の事業者については、請負契約において労務費のダンピングの恐れがないか重点的に確認する。
  • ②コミットメント制度を通じた適正な支払いの担保
    契約締結時に受注者が注文者に労務費・賃金の適正な支払いを約する条項を建設工事標準請負契約約款に導入するとともに、サプライチェーン全体の個々の取引における活用を推奨する。
  • ③技能者通報制度による適正でない賃金支払いの情報提供
    デジタル技術を活用した技能者からの賃金に係る情報提供制度を導入するとともに、ここで得られた情報を端緒として、建設Gメンの調査等に活用する。
  • ④労務費・賃金の支払い態様が悪質な事業者の見える化
    労務費や賃金の支払いに関し悪質な態様が認められる事業者を見える化することにより、優良な事業者が市場で選択される環境を整備する。
3-4. 公共工事における上乗せの取組

公共工事においては、発注者に賃金の支払い等の実態把握に努めることなどの一定の役割が求められることも踏まえ、「労務費ダンピング調査」を実施する等の現行のダンピング対策を強化する措置を講じる。

その他、労務費基準の本文を含めた「労務費に関する基準」制度の詳細は、以下のWebサイトに公開している。

1 2 3 4

関連記事

しんこう-Webとは
バックナンバー
アンケート募集中
メールマガジン配信希望はこちら