特集

特集
2026年2月号 No 575

「労務費に関する基準」について

2 「労務費に関する基準」の概要

2-1. 適正な労務費

労務費基準において、建設工事の請負契約における適正な労務費(=建設工事を施工するために通常必要と認められる労務費)は、以下の算定式に基づいて計算して得られる値に相当する額とすることとしている。

算定式について、説明する。

労務費基準における「適正な労務費」とは、建設業者が雇用する技能者に適正な賃金を支払うための原資を指し、その水準は建設業者が支払うべき賃金の水準から導かれる。この際、建設業の賃金水準を他産業並み以上のものとする観点から、まず公共・民間いずれの工事に従事しているかを問わず、技能者への公共工事設計労務単価並みの水準の賃金支払いを目指すこととした。

このためには、適正な労務費として、作業に対応する職種の公共工事設計労務単価を計算の基礎とした水準の賃金原資が確保される必要がある。

具体的には、個々の建設工事の請負契約において、1日8時間当たり労務単価である職種別の公共工事設計労務単価に、当該工事に従事する見込みの者の職種別の作業日数(総労働時間)を乗じた額の総和が労務費として盛り込まれることが必要である。

この総額を、総労働時間が確定していない契約の見積り・締結段階において確保するため、各社が把握している「歩掛」の概念を用い、適正な労務費を、上記の式によって位置づけることとしたものである。

2-2. 適正な労務費を個別の請負契約に当てはめる際の留意点

まず、労務費を見積もる際に、労務単価については、公共工事設計労務単価を下回る水準を設定しないこと、また、歩掛については、当該工事の施工条件・作業内容等に照らして、受注者として責任を持って施工できる水準を計算して設定することが必要である。これは、適正な賃金支払いに必要な原資の確保を前提として、労務費の中でも、より少ない人工・労働量で施工する努力に相当する部分については競争の対象とし、受注側における生産性向上に向けた取組を促す理念を示すものである。

見積りの際に労務単価を公共工事設計労務単価より高い水準として積み上げることが適切な場合も考えられる。高い技能を持つ技能者が施工することが必要である場合や、需給の状況等により技能者の確保に要するコストが高い場合等においては、受注者と注文者の双方において誠実かつ適切に価格交渉を行うことが必要である。

また、労務費基準においては「労務費」の範囲を、公共工事設計労務単価に含まれる技能者への賃金相当分としてのみ扱っているが、一般に、企業が労働者を雇用するに当たっては、賃金以外にも、法定福利費の事業主負担分等の経費の支払いが必要となる。これらの経費については、労務費とは別途、請負契約の中で必要額が計上される必要がある。

その他の留意点については、労務費基準の本文や別途示す「『労務費に関する基準』の運用方針」を参考にされたい。

2-3. 職種分野別の労務費の基準値

実際の価格交渉等において、2-1において示す基本的な考え方に沿った適正な労務費の確保をより円滑に進める観点から、一定の要件を満たす職種分野においては、国土交通省において、労務費基準により導き出される適正な労務費の具体的な数値(以下「基準値」という。)を定め、運用することとする。基準値は図2に定める統一様式に沿って示すこととし、令和7年12月時点においては、13職種分野において99工種(作業)の基準値を設定し、公表している。

基準値の詳細は国土交通省のWebサイトにおいて示している。

1 2 3 4

関連記事

しんこう-Webとは
バックナンバー
アンケート募集中
メールマガジン配信希望はこちら