特集

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2025年12月・2026年1月号 No 574

今後の建設業政策のあり方

「今後の建設業政策のあり方に関する勉強会」

谷脇:令和7年の6月より、「今後の建設業政策のあり方に関する勉強会」が開始されていると伺っています。こちらの内容については、どういったことを話し合われているのでしょうか?

楠田:近年の建設業政策は、建設投資の変動や生産年齢人口の減少を背景に、「担い手の確保」を基本課題とし、建設業法等の改正を通じて請負契約の適正化を進めてきました。その総仕上げの一つが、令和6年6月に成立した第三次・担い手3法です。現在は「労務費に関する基準」や価格転嫁の協議の円滑化ルールを策定するなど、担い手確保の取り組みを着実に前に進めているところです。

一方で、社会の前提は大きく変わりつつあります。災害の激甚化・頻発化、AI・デジタル技術の進展、スタートアップの台頭―。こうした変化の中で、建設業が社会経済・国民生活において引き続き重要な役割を果たし、成長・発展していくために、昨年6月に「今後の建設業政策のあり方に関する勉強会」を設置しました。議論の軸は、産業としての土台である「信頼」と、時代に即した「生産システムの合理化」の二つです。これらを車の両輪として、政策の方向性を検討しています。

これまでの勉強会では、まず「これからの建設業に求められる企業のあり方」に焦点を当てました。大手建設業については、国内市場における規模の拡大、事業の多角化や海外展開といった経営力の強化、そしてDXの取り組みを議論しています。また、地域建設業については、公共工事への依存の高さや投資力の制約といった構造的課題を踏まえ、地域を牽引する中核企業の創意工夫、地域建設企業同士の資本提携やホールディングス化などによる持続的な事業体制の構築事例を共有しながら議論を深めています。更に、将来的な担い手不足が懸念される中での「建設業における人的資源のあり方」についてもご議論いただいたところです。今後は、今年度中の一定の取りまとめに向けて更に検討を重ねていきます。

谷脇:ありがとうございます。「今後の建設業政策のあり方に関する勉強会」においては、大手建設業と地域建設業とで課題は分けて考えているということでしょうか?

楠田:はい。共通の問題もありますが、課題としては異なる部分が多いため、勉強会ではそれらを分けて議論しています。大企業の買収・合併の動きも出てきており、それを踏まえた制度的な課題なども検討する必要があると思っています。

CCUSの次なるステージへ

谷脇:業界の皆さまとともに進めている建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者2人に1人以上が利用する水準となりました。当財団としても今後さらに普及に取り組んでいきますが、局長はCCUSの現状と今後について、どのようにお考えですか?

楠田:CCUSは、関係者の皆さまのご尽力により、現在、約176万人の技能者、約30.5万社の事業者に登録いただいています。普及の裾野を広げる取り組みを継続しつつ、今は「処遇改善」や「業務効率化」につながるメリットの拡大に力を入れていく局面です。このため、令和6年度からの3か年を、改正建設業法と一体で処遇改善を推進する「メリット拡大フェーズ」と位置づけた「CCUS利用拡大に向けた3か年計画」を策定して取り組みを進めています。

計画スタートから約1年半、CCUSレベルに応じた賃金・手当制度の拡大や、スマホアプリ「建キャリ」で一部資格者証の携行が不要となるなど、処遇改善・効率化の具体的な効果が現れ始めています。今後は、就業履歴や能力評価の活用をさらに広げ、賃金・人材配置・教育訓練の好循環へつなげていく。CCUSを「見える化の基盤」から「処遇と生産性を押し上げるエンジン」へと進化させるべく、官民一体で取り組みを加速していきます。

谷脇:先ほどお話に挙がった外国人材にとっても、自身のキャリアが積み上がり、それを見える化できる仕組みであるCCUSはキャリアアップに適した取り組みと言えますね。

楠田:そうですね。暮らしのサポートや処遇の面だけでなく、こうしたキャリアアップの仕組みも含めて、日本の建設業を魅力的に感じられるような取り組みをアピールしていきたいと思います。

「CCUS 利用拡大に向けた3か年計画」の概要

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