特集

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2024年11月号 No.563

建設業バックオフィスにおけるDX

ー各種サービス・環境整備の現状ー 一般財団法人 建設産業経理研究機構

建設業バックオフィスにおける生産性向上の必要性

国土交通省の公表資料によると、日本の建設投資額はリーマンショック後の平成22年度に約42兆円まで落ち込みましたが、その後増加に転じ、令和5年度には70兆円を超える見通しとなっています。

しかし、増加する建設需要を支える建設業の就業者数については、リーマンショック後の落ち込みから回復することなく、現在に至るまで漸減傾向が続いており、その内訳についても、これからの建設業を支える29歳以下の割合は12%程度にとどまっている一方で、60歳以上が全体の約1/4を占めており、今後10年間でその大半が引退することが見込まれます。このように、建設業において少ない人員で従来以上の成果を出すための生産性向上が喫緊の課題であることは言うまでもありません。

こういった現状を打破するために、国土交通省も施工現場におけるi-ConstructionやBIM/CIMを用いた生産性の向上を主導・推進しており、この取組みは一定の成果をあげているといえます。

しかし、建設産業は施工現場をマネジメントするゼネコンと多数のサブコンから構成される重階層構造が特性となっており、請求書の受付処理・出来高査定・定時払い・手形管理などを担う経理部門、労働安全性や施工体制台帳、建退共などの事務処理を担う工務部門、総務部門などの、いわゆるバックオフィス部門における業務処理の占めるウェイトも決して小さいものではありません。

特に近年では、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応などによる業務量の増加・複雑化は顕著です。さらに働き方改革によって、令和6年4月より建設業においても残業時間の上限規制が行われており、バックオフィス部門にも施工現場と同様に生産性の向上が強く求められている状況にあるといえるでしょう。

建設業のバックオフィスにおけるDXを支える各種サービス・環境整備

「DX」とは、企業がデータとデジタル技術を活用して業務プロセスを改善し、さらには製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革することをいいます。DXは、顧客や取引先などの社外関係者と連携しながら新たな価値を生み出していく活動と捉えられ、業務変革を通じて企業成長を目指すものです。社内業務や従業員のみを対象とし、コスト削減や品質向上を目的とする「IT化」とは基本的に異なるといえます。

ICTの発展に伴い、数多のベンダーが最新技術を導入したSaaS(Software as a Service)を提供していますので、その中から業務の効率化に資するサービスを導入することは、建設業バックオフィスのDX実現へ向けた第一歩だといえるでしょう。

一方、CCUS(建設キャリアアップシステム)やCI-NETのように、業界団体や政府が業界全体のDXを支える環境整備として実装している仕組みもあり、これらを活用することも重要です。

まずは、どのようなサービスや仕組みがあるかを認識するところから始めるとよいでしょう。

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