経済動向

経済動向
2021年12月・2022年1月 No.534

若手を見る先輩の厳しい目

建設産業では、人材不足や高齢化が大きな課題となっている。これらを打開する最も効果的な方法は若手の入職促進だ。近年は若手の採用に注力する組織が多くなった。しかし、若手を育てている先輩実務者は、若手に不満を抱いている。日経クロステックが実施したアンケートを基に、先輩が見る若手の姿を紹介する。

人手不足を受け、若手の入職を強く望む組織が多い建設産業。しかし、その建設産業で働く実務者は、若手に対して厳しい目も向けている。そんな現実が、日経クロステックの調査によって明らかになった。2021年9月29日から10月3日にかけて、日経コンストラクションと日経クロステックの読者のうち、建設産業で働く30歳以上の実務者を対象にアンケートを実施した。その結果、20歳代以下の若手に不満がある(「とてもある」と「ややある」の合計)と回答した実務者の割合は、62.6%に達した。

さらに、その不満の内容を選択肢から複数回答で選んでもらったところ、「自ら学ぶ姿勢がない」(62.9%)「自律的に動かない」(58.1%)「積極性がない」(48.4%)といった、主体性のなさを指摘する意見が上位を占めた。「コミュニケーション能力が乏しい」や「社会人としてのマナーに欠ける」といった声がそれぞれ41.9%で続いた。

こうした若手を育てる立場の先輩には、育成上の悩みを抱えている人が多い。若手を育成するうえで悩みがあるかと問うた質問に対しては、「とてもある」と「ややある」を合わせた、悩みを抱える実務者の割合が、80.4%に達していた。

悩みの内容を具体的に聞いてみると、育成面でも「教えた方法でしか行わない」といった主体性のなさを指摘する声が上がっていた。ただし、若手側の問題を指摘する声が多い一方で、「在宅勤務が多く、気軽に話しかけられない」といったコロナ禍での環境変化の影響を訴える意見もあった。教える側と教えられる側の年齢が離れ過ぎていることを問題視する声も出ていた。

育成に関しては深刻な数字も出ている。若手の仕事へのモチベーションが低下していると感じることがあるかという質問に対して、「とてもある」と「ややある」の合計が、66.7%に達していたのだ。

モチベーションの低下をもたらす要因をアンケートで確認したところ、業務量の多さという回答が5割を超えていた。「やりたいことと異なる仕事を手掛けているとき」「仕事の進め方に悩んでいるとき」がこれに次いだ。若手と綿密なコミュニケーションを図り、業務量を調整したり、仕事への理解を深めてもらったりするような努力が、先輩に求められていることがうかがえる。

部署や勤務先にいる20歳代以下の若手に不満があるか否かを尋ねた結果

若手に不満を抱く実務者にどのような不満があるかを尋ねた結果(資料:日経クロステック)

 

【冊子PDFはこちら

関連記事

しんこう-Webとは
バックナンバー
アンケート募集中
メールマガジン配信希望はこちら