経済動向

経済動向
2021年3月 No.526

2021年の建設界の動向をさらってみる

新型コロナウイルスの影響が色濃く出た状態で始まった2021年も、建設・インフラ産業では着実に業務を前に進めていくことが求められている。21年の仕事をスムーズに進めたり、ちょっとしたコミュニケーションを図ったりする際に役立つ今年の重要キーワードをいくつか紹介していく。

 

都市部を中心に、新型コロナウイルスの感染状況がなかなか収まらない状況でスタートした2021年。そんな環境ではあるものの、建設やインフラの仕事は社会のエッセンシャルワークであり、継続を求められる仕事が少なくない。今回は、人々の生活や安全を支える仕事を続けていくために知っておきたい、21年の建設関連のキーワードを紹介していく。

まずは、法制度や行政に関連するキーワードから紹介する。1つ目は「第5次社会資本整備重点計画」だ。20年度末に期限を迎える第4次社会資本整備重点計画を改定し、21~25年度の5年間にわたるインフラ整備の重点目標を提示する。自然災害への備えやインフラの老朽化への対応などこれまで取り組んできた項目に加え、情報技術の活用によってインフラから新しい価値を引き出したり、インフラの多面的・複合的な活用によって生活の質を高めたりする取り組みにも注力していく。

2つ目は「施工管理技士」だ。監理技術者を補佐する技士補の創設に伴って、1級の施工管理技士の資格制度が見直され、専任の技士補を現場に配置した場合に、監理技術者が2現場を兼任できるようにした。この変更に伴って、施工管理技士の資格試験がこれまでの学科と実地という枠組みから、第一次と第二次の枠組みに変更された。21年の試験からは、従来の学科と実地の試験で出題されてきた問題の一部が組み替えられる見通しだ。試験日程は、19年度までの試験に準じている。

この他の建設系の資格試験では、技術士第二次試験がほぼ19年までの日程に戻る一方、測量士やコンクリート診断士の試験は、19年までの試験日程よりも試験日を遅らせて対応する。

ドローンや冷却グッズが熱い 道路網や鉄道網の整備も進む

技術の領域では、実務者の「ドローン」への関心は高い。21年には通常国会で航空法改正案が提出される見込みで、政府は操縦者の目が届かない範囲でも市街地の上空を飛行できるようにする方針を掲げている。この法改正に伴って、国は機体の安全性を認証する制度を創設する予定だ。さらに、操縦者の技能を証明するライセンス制度も立ち上がる見通しとなっている。

「現場のコロナ対策グッズ」や夏場の作業に向けた「冷却グッズ」なども、さらなる広がりが出てくると考えられる。

インフラ建設のプロジェクトでは、今後も「道路網の整備」が一段と進む。首都圏では首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の整備が大詰めを迎える。圏央道を構成する横浜湘南道路が24年度、横浜環状南線が25年度にそれぞれ開通する見通しで、大栄ジャンクションと松尾横芝インターチェンジ間も24年度の開通を見込む。

「都市の鉄道網」については、神奈川県央部と東京都心を結ぶ路線の一部である「相鉄・東急直通線」が22年度下期の開業を目指して整備が進む。大阪市内では、南北を貫く「なにわ筋線」の工事において、駅部の土木工事などが21年から始まる。31年春の開業を目指している。

開通時期は見込み。国土交通省や高速道路会社の資料を基に日経コンストラクションが作成

 

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