建設経済の動向

建設経済の動向
2020年4月号 No.517

2020年度は建設関係の制度変更が続々

 

建設会社や建設関連会社の仕事に大きく影響する制度改正が2020年度に相次ぐ予定だ。改正建設業法や改正労働基準法の施行、i-Constructionといった施策の深化など、迫り来る変化について確認しておこう。

改正建設業法の施行や外国人技能者の受け入れ拡大、i-Constructionの取り組み推進など2020年の建設関連の制度改変で、認識しておきたいポイントを整理してお伝えする。

まずは改正建設業法に関連する事項から。注意が必要な項目の1つは、「著しく短い工期による請負契約の禁止」だ。対象となるのは、公共工事だけではなく、民間の工事も含まれている。契約も発注者と元請け会社との間に交わされるものだけでなく、元請けと1次下請け間や1次下請けと2次下請け間といった全ての契約が対象となる。

著しく短い工期で契約した発注者に対しては、国や都道府県といった許可行政庁が勧告する。元請けと下請けの間での契約については、違反を把握するための仕組みを取り入れた。公共工事の発注者に対して、著しく短い工期での契約の疑いを把握した場合に、入札契約適正化法で許可行政庁に通知する義務を課したのだ。

さらに、国などが設ける通報窓口に違反行為の連絡があった場合には、その内容に応じて元請けに対する勧告や指示処分を行う。今後は著しく短い工期を判定するための基準案を、20年夏ごろまでに中央建設業審議会においてまとめていく予定だ。

建設業界の人手不足を背景に、工事における技術者配置要件が緩和される。例えば、2 0 年1 0月以降は2次下請け以下の会社の主任技術者の配置が、一定の要件を満たす場合に不要になる。これまでは、全ての工事で下請け会社も主任技術者を任命しなければならなかった。

外国人技能者の受け入れ拡大自治体のi-Conを支援する

20年4月から改正労働基準法が中小企業にも適用される。その結果、建設コンサルタント会社などで、残業時間の上限規制への対応が求められるようになる。建設業では24年4月までに対応しなければならない。

特定技能外国人の仕組みを使った建設技能者が20年度以降は増えそうだ。この制度は、実技と日本語の技能試験に合格した外国人技能者を即戦力として受け入れる制度で、国交省は23年度末までに4万人の特定技能外国人を受け入れる計画を持つ。

25年までに建設現場の生産性を2割向上させる目標を掲げているi-Construction。設計や施工の現場におけるICTの導入を進めるために、国は様々な基準整備などを進めてきた。20年度も深層の地盤改良や舗装の修繕などの工事でICT施工の技術基準を整える予定だ。

20年以降は、自治体の発注案件でのICT活用を促す取り組みに力を入れる。例えば、土量の少ない土工事でICT施工の積算基準を改定したり、自治体が発注する工事で国がモデル事業を実施したりする。

インフラの所有権を国や自治体に残したまま、運営権を民間に売却するコンセッションでは、20年に大きな案件が始まる。新千歳空港をはじめとする北海道内の7空港をまとめた運営だ。三菱地所や岩田地崎建設などで構成するグループが進める。ほかにも、高知県須崎市では20年4月から下水管路と処理場を対象としたコンセッション事業が始まる。NJSが代表を務めるグループが運営を担う。

2019年11月28日に開かれた中央建設業審議会のワーキンググループの初会合の様子。20年夏までに、工期に関する基準案を作成する
(写真:日経コンストラクション)

 

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