経済動向

経済動向
2018年10月号 No.502

女性雇用の正規化が進展

景気回復が続き、人手不足が深刻化する中、失業率の低下と就業者数の増加が続いている。そしてこの就業者数の増加とともに、その構造に変化の兆しがみられる。そこで今回は、近年の就業者数ならびにその内訳の推移と、就業構造の変化の内容とその背景などについて解説する。

就業者数の増加と構造変化

アベノミクスが開始された2013年以降、就業者数は増加傾向に転換している。総務省の「労働力調査」によれば、17年度の就業者数は6,566万人と過去最高を記録した。そしてこの間の就業者数の変化の特徴として、女性の雇用者数の増加と自営業者数の下げ止まりがあげられる(図1)

図1 就業者数の内訳

17年度の女性雇用者数は68万人増と、バブル期以来の大幅増となっており、近年増加数が拡大している。また、自営業者数の下げ止まりの背景には、高齢化の進展があると考えられる。年齢階層別に、就業者数に占める自営業者数の比率をみると、高齢者層で非常に高くなっており、人口動態の変化によって高齢者の労働参加が多くなると、自営業者数が増加しやすい。また、高齢自営業者の業種別割合を見ると、学術研究・専門・技術サービス業などで働く高齢者が増加し、培ったスキルや資格を利用した新たな働き方が進展する兆しがみられる。

女性の働き方に変化

次に、女性雇用の内訳を、正規・非正規でみると、近年の特徴として、正規雇用の増加が非正規雇用の増加を上回る逆転現象が発生しており、15年度以降、非正規雇用から正規雇用へのシフトが進んでいることがわかる(図2)。この背景には、正社員の不足感が強まっていることがある。また、既に採用している女性労働者の非正規雇用から正規雇用への転換の動きも進んでいる。

図2 女性雇用の内訳

さらに、逆転現象が生じた15年度以降の女性雇用の業種別内訳の変化をみると、女性の正規雇用が最も増加した業種は医療・福祉業である(図3)。次いで、製造業や金融・保険業で正規雇用が増加している。なお、女性の正規雇用の増加は、もともと女性雇用率が高い業種に限らず、製造業の生産工程従業者にも広がりを見せている。

図3 業種別に見た女性雇用の内訳

優秀な女性の人材を確保すべく、正規雇用を増やす傾向は今後も続き、その結果として、平均賃金の押し上げ効果が中期的には発現すると展望される。日本の就業構造に変化の兆しが生じてきたと見ていいだろう。

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