経済動向

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2018年2月号 No.495

アジアへの直接投資動向のポイント

日本企業にとってアジア各国は、大きな消費市場であるとともに重要な生産拠点である。近年の日本のアジアへの直接投資動向をみると、中国向けが増加する一方、ASEAN(東南アジア諸国連合)向けが伸び悩んでいる。今回は、これら日本のアジアへの直接投資動向の背景や、今後の注目点などについて解説する。

中国への直接投資に再び関心が高まる

日本企業の対アジア直接投資は、2015年下期以降伸び悩んでいた中国向けが、16年下期以降、再度増加に転じている(図1)。一方、ASEAN5(タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン)向けは、非製造業の投資は内需の厚みがある国では堅調だったが、インドネシアで輸送機械の投資が一巡したことなどから製造業の投資が伸び悩んだため、高水準を維持しているものの、17年上期は減少した。中国向けは依然としてASEAN5向けを下回る水準にあるものの、増加傾向を続けており、再び中国への関心が高まってきたことに注目が必要である。

図1 日本の対アジア直接投資推移

日本の対中国直接投資動向を、半期ごとに製造業と非製造業に分けると、16年下期以降、特に製造業の増加が目立つ(図2)。この背景には、中国政府が第13次五カ年計画(16~20年)およびその次の五カ年計画を見据えて、製造業のグレードアップを図る「中国製造2025」計画を進めており、生産工程のオートメーション化需要の拡大を受けた工作機械や関連製品の生産や、輸入代替を目指す半導体製造設備の設置がある。その結果、日系製造業の投資が底堅いものになっている。

図2 日本の対中直接投資(製造業・非製造業別)

 

タイへの投資にも注目

一方、ASEAN5向けの直接投資の国別推移をみると、タイ向けの増加が目立っている(図3)。日本企業が集積するタイでは17年以降、自動車関連の増加が著しい。さらにタイでは、政府が「タイランド4.0」構想を打ち出し、タイの製造業を重化学工業中心の「タイランド3.0」から、ハイテク中心の高付加価値産業へ高度化しようとしている。こうした構想に対する日本企業の注目が高まったことも、タイへの投資の押し上げ要因になったと考えられる。
以上のようにアジア経済は、中国やタイを中心に一段と産業構造が高度化するなか、日本からの投資を重視する動きが拡大すると展望される。したがって今後は、中国の環境規制やタイの政治情勢など、投資に影響を与える各国の動向の十分な把握と分析が日本企業に求められよう。

図3 日本の対ASEAN5直接投資

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