建設経済の動向

建設経済の動向
2023年4月号 No.547

押さえておきたい2023年度の注目プロジェクト

2023年度も大規模な施設や特徴ある施設の完成や開業が続く。巨大都市空間の整備だけでなく、新型コロナウイルス問題の収束によってこれから活気が出てきそうなエンターテインメント施設、脱炭素社会の実現に向けて利用拡大が期待されている木造施設など、23年度に完成、開業が予定されている注目の事業を整理した。

今回は、2023年4月以降に完成、開業する建設プロジェクトを中心に紹介する。まずは五輪が終わった東京。巨大イベントは過ぎ去ったものの、大規模施設の完成や開業は、まだまだ続く見通しだ。

近年、最も注目を集めているプロジェクトの1つが、森ビルが中心となって進めている麻布台ヒルズだろう。六本木ヒルズと虎ノ門ヒルズの間に大きな街を整備する。約5800億円を投じた事業で、A街区の超高層ビルは完成時点で日本一の高さとなる。地下には、お台場にある「森ビル デジタルアート ミュージアム:チームラボボーダレス」が移転・開業する他、都市型の住居やホテル、インターナショナルスクールなどが入る。23年秋の開業を目指している。

前出の虎ノ門ヒルズで、東京メトロ日比谷線の駅の直上で建設中の「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」は、23年7月に完成予定だ。こちらも23年秋の開業を予定する。基準階約1000坪の広さを持つオフィスに加え、フォーラムやホールなどを抱える複合型施設を開設する。

新宿では23年4月に「東急歌舞伎町タワー」が開業する。映画館や劇場、ライブホールなどのエンターテインメント施設とホテルから成る“エンタメ超高層ビル”だ。永山祐子建築設計が手掛けた外装デザインは、噴水のような意匠になっている。


建設が進む麻布台ヒルズの様子。
左上に見えるのが完成時に日本一の高さとなる超高層ビル(写真:日経クロステック)

「ハリポタ」や「ジブリ」を体感
木造ビルも続々登場

23年度は、他にも各地で複数の大規模エンタメ施設がお目見えする。例えば、東京・練馬に立地していた遊園地「としまえん」の跡地の一部を使った施設整備が最終盤を迎えている映画「ハリー・ポッター」の世界を体験できる施設。23年6月の開業予定だ。ウオークスルー型の施設として開業する。

愛知県が愛・地球博記念公園内の未利用地などで整備を進める「ジブリパーク」。既に22年に3つのエリアが開業し、来訪者がスタジオジブリ作品の世界を体験している。このジブリパークで、2期事業となる2エリアが23年度内に開業する見通しだ。2期の総事業費は約158億円に達する。

木造を活用した高層ビルの計画も目立つ。例えば、東京・銀座で23年5月に完成予定の銀座高木ビル。地下1階・地上12階建ての上から4層分を1時間耐火の木造にしている。竹中工務店が設計・施工を手掛ける「仙台国分町プロジェクト」は、23年12月に仙台市内で完成予定だ。鉄骨造や鉄骨鉄筋コンクリート造と組み合わせて木造を用いる。2時間耐火の柱と梁を採用するオフィスビルだ。

災害復興も着実に進む。16年の熊本地震で被災して、2つの橋と2つのトンネルが大きな被害を受けていた立野―中松間の10.5kmが不通となっていた南阿蘇鉄道は、23年夏に全線開通する。

 

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