経済動向

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2017年12・2018年1月号 No.494

国交省発注工事で落札率が再上昇

2015年度、5年ぶりに下落した国土交通省発注工事の平均落札率。しかし、2016年度は前年度から1ポイント上昇し、92.1%の高水準となった。工事発注金額が1兆5000億円を回復するなど、3年ぶりに増加したことが要因とみられる。一方、都道府県発注工事の落札率は10県で95%を超えており、国土交通省の工事以上に高い自治体が多い。

国土交通省は2017年11月、「国土交通省直轄工事等契約関係資料」を取りまとめ、2016年度の発注工事・業務の発注金額、落札率などを公表した。同資料を基に、まずは近年の国土交通省発注工事の落札率の推移について見ていこう。

3年ぶりに国交省工事の発注額が増加
落札率はこの10年で2番目の高水準に

は、工事発注金額(棒グラフ)と落札率(折れ線グラフ)の最近10年間の推移を示したものだ。
発注金額は、東日本大震災が起こる直前の2010年度に1兆1000億円余りと大きく落ち込んだものの、その後は1兆5000億円前後で比較的、安定している。2014~2015年度は2年続けて下落していたが、2016年度は3年ぶりに増加した。
落札率は、同図からも明らかな通り発注金額に大きな影響を受けている。発注量が減少すれば競争環境が厳しくなり、自ずと落札率は低下する。一方、発注量が増えると各社は、利益率が見込めたり自社が得意としたりしている工事を中心とした「選別受注」に動く。その結果、1工事当たりの入札参加者数が減少し、落札率を押し上げる要因となりやすい。
2015年度は、発注金額が2年連続で減少していたのを受けて落札率が低下した。対して2016年度は、発注金額が前年度に比べて約14%増加し、1兆5000億円を回復。これが、落札率の上昇をもたらしたようだ。
一方、2年連続で低下していた入札不調の発生率は、2016年度も前年から0.4ポイント下がり、3.4%だった(国土交通省の8地方整備局が発注した一般競争入札による工事)。東日本大震災の影響で一気に顕在化した入札不調問題は、かなり沈静化したようだ。

図 地方整備局の工事発注金額と平均落札率の推移

都道府県では落札率が高止まり
90%未満の6府県は近畿に集中

次に、日経コンストラクションが2017年6月に実施した調査の結果を基に、都道府県が発注する工事入札の落札率について見ていこう。
47都道府県の落札率は、2016年度発注工事の単純平均で92.8%と、国土交通省発注工事よりも高かった。新潟県が97%とトップで、上位10自治体が95%を超えていた。他方、90%を下回っていたのは6自治体。山口県を除けばいずれも近畿地方の府県だ()。なお、国土交通省の工事入札でも、近畿地方整備局発注工事の落札率は91.2%と、九州地方整備局に次いで2番目に低かった。
都道府県でも、最近は平均落札率が上昇する傾向にある。例えば、落札率が最も高かった新潟県は、2013年度だけで複数回の入札制度改革を実施。低入札価格調査制度における失格基準を引き上げた。これは、受注希望者が低額で札を入れるのを防ぐための取り組みで、いわば県が落札率の向上を誘導しているわけだ。こうした取り組みは他の都道府県でも見られ、自治体の入札の落札率の高止まりにつながっている。

表 2016年度・都道府県発注工事の平均落札率

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