建設経済の動向

建設経済の動向
2018年6月号 No.499

「週休2日」や「研究開発」を後押し

国土交通省は3月20日、2018年度から適用する土木工事・業務の積算基準の改定を発表した。改定したのは、工事が13項目、業務が4項目。積算基準の改定は、実勢の価格に合わせるのが目的の1つだが、今回の改定の目的はそれだけではない。基準の改定によって、建設業の様々な課題を解決していくことも狙っている。

基準改定に当たって国土交通省が発表した資料の表題は、「平成30年度 国土交通省土木工事・業務の積算基準等の改定~働き方改革や生産性向上に取り組める環境整備~」。国を挙げて進めている働き方改革や生産性向上を、積算基準の改定によって後押ししていこうという姿勢が感じられるサブタイトルだ。
改定された基準は工事13項目、業務4項目と多岐にわたる。改定の細かい内容については発表資料をご覧いただくとして、ここでは特徴的な部分を見ていこう。

4週6休、4週7休でも補正対象
ICT建機の使用率は一律から現場ごとに

まず、「働き方改革」に関連して、週休2日に取り組む現場の必要経費を計上する。ポイントは、①共通仮設費と現場管理費の率のみ補正していたが、労務費と機械経費(賃料)にも補正係数を設ける、②4週8休以上のみを補正の対象としていたが、4週6休、4週7休も対象とし、それぞれ補正係数を定める――といった点だ(図1)

図1 週休2日に取り組む場合の経費の補正係数

現場を週休2日にする場合、通常より工期が長くなることに配慮した。例えば、現場事務所の土地代や安全施設のリース費といった共通仮設費や、現場技術者の給与を含む現場管理費などが、官積算から乖離する可能性がある。機械経費や労務費も増える。そこで、新たな補正係数を設けることで、これらの経費を適切に計上できるようにした。新たな補正係数は、2018年4月1日以降に入札公告を行う工事から適用する。
生産性の向上の面では、i-Construction関連の基準を充実させる。例えば「ICT土工」の歩掛かりについて。これまで、ICT建機の使用率を一律の25%としていた。しかし、施工土量が5万m3以下などの比較的規模が小さい現場では、より経費のかかるICT建機の使用率が高くなっているという実態があったため、ICT建機で施工する土量を現場に応じて設定する方式に変更した。積算を実態に近づけることで、ICT建機をさらに普及させるのも狙いだ。また、ICT浚渫工(河川)の積算基準を新設した。
「一般管理費等」の率も引き上げる(図2)。一般管理費とは、工事を受注した企業の本社・支店経費に当たるもので、2015年度に20年ぶりに引き上げて以来の改定だ。近年、建設会社の研究開発費などが増えている実態を踏まえて、率を現行の7.41~20.29%から、7.47~22.72%に改定する。工事原価2億円の工事に当てはめると、一般管理費等率は12.9%から13.9%へと、約1ポイント増加する計算になる。

図2 研究開発費用などを反映した「一般管理費等率」の改定

 

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