FOCUS

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2026年4月号 No 577

生徒と一緒にいる時間が、信頼と成長の土台になる。建築や和太鼓を通して育む“スペシャル”な自信!

東京都立葛西工科高等学校建築科 小松昌史先生

東京都江戸川区に根を下ろし、ものづくりを支える人材を送り出し続けている東京都立葛西工科高等学校。同校で日々生徒の学びを育むとともに、都内の全日制工科高校で唯一という和太鼓部の顧問として部員たちの活躍を見守っているのが、建築科の小松昌史先生です。初任校として赴任して3年目。「生徒と一緒にいる時間が何より楽しい」と笑顔を見せる小松先生に、同校の工業教育の特色や外部連携がもたらす生徒の変化、そして部活動を通じた人間形成への想いを伺いました。

施工重視の学びで育てる
実践力

東京都江戸川区に位置する葛西工科高校。生徒の多くが地元出身というこの学校には、体を動かす実習になると俄然、輝きを放つ生徒たちが集まっている。

「本校の建築科は他の工業高校と比較して、施工系の色が強い実習体系を組んでいるのが特長です。1年次には木工など個人の技術を、2年次には仮設足場など他者との協働を、そして3年次にはさらに専門的なパートに分かれて総合的な学びを深めます。建築が好きで、かつアクティブに見学会や技能体験に飛び込んでいきたい生徒には、これ以上ない環境だと思っています」。

指導の中で大切にしているのは“挑戦”だ。資格取得については、あえて生徒が背伸びをして届くようなハードルを用意し、それを乗り越えさせていく。また、外部の企業・団体と連携した実習などにも積極的に取り組み、様々な学びを吸収しようとしている。

「特に印象的だったのは、竹中工務店のパートナー企業で構成される『竹和会』の皆様による技能体験会です。10種類もの職種をローテーションで体験できるのですが、1年次の早い段階で建築業を広く浅く体験できることは、その後の学びにおいて非常に有益です。私自身も生徒と一緒に様々な職種に触れ、その奥深さを再確認しました」。

学校の外へと学びの場を広げる姿勢は、現場見学にも顕著に表れている。江戸川区内の浄水場におけるRC工事現場や、一戸建ての建設現場、時には千葉県まで足を延ばすこともある。

「外部の方々の手厚い協力により、多様な学びの機会をいただいています。こうした校外活動が生徒に与える最大の影響は、社会性が身につくこと。学校生活の中だけではどうしても“慣れ”が生じてしまい、だらしなくなってしまうこともあります。しかし、外部の方々と関わる際は緊張感もあり、生徒たちは最初、不安げな顔をしながらも職人の方々とコミュニケーションを取ろうと必死になります。そして、褒めてもらえれば素直に喜ぶ。こうした交流を繰り返すうちに、川の丸石が角を取られていくように、生徒たちの言動も丸く、立派になっていくんです。挨拶の仕方も話を聞く態度も回を重ねるごとにメリハリがつき、私たち教員側も安心して見守ることができるようになります」。

一方で、小松先生は受け入れ先の企業に対して、ある願いを持っている。

「本来、生徒を厳しく指導するのは我々教員の仕事です。しかし、現場見学の際などに生徒が現場にふさわしくない態度を取ったならば、ぜひ実際の現場と同様に、ルールに則って厳しく叱っていただきたいと思っています。現場の緊張感を肌で感じることこそが、生徒にとって本物の学びになるはずです」。

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