FOCUS

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2026年3月号 No 576

建築を入口に、社会とつながる学び。活躍するための力を育む、鶴岡工業高校の取り組み。

山形県立鶴岡工業高等学校建築科 阿部健人先生

日本海と庄内平野に抱かれ、出羽三山の文化も息づく城下町に学び舎を構える、山形県立鶴岡工業高等学校。“鶴工”の愛称で親しまれる同校は、明治28年(1895年)に染織学校として創設され、現在は建築・機械・電気電子・情報通信・環境化学の5学科体制で地域の未来を担う人材育成に取り組んでいます。今回は建築科の阿部健人先生に、学科の学びと現場、そして生徒への想いなどを伺いました。

庄内唯一の建築科が
担う役割

山形県の北西部を占める庄内地域において唯一の建築科を擁する、山形県立鶴岡工業高等学校。阿部先生は、その立ち位置を次のように語る。

「庄内地域で建築科があるのは本校のみです。生徒の多くも、建築を学ぼうと考えて入学してきます」。

ただし、学びが進むにつれて、生徒の視野は次第に広がっていくという。

「授業や実習を重ねていく中で、建築という枠だけでなく、建設業界全体に目を向けるようになる生徒も多いです」。

そうした変化を後押ししているのが、地元の建設業協会などの協力を得て実施される現場見学だ。見学先は、身近な木造住宅から大規模な公共施設、河川工事といった土木現場まで多岐にわたる。

「座学で学んだ内容が、実際にどのように使われているのかは、普段の生活ではなかなか見えないもの。校外で現場の方と関わり、実際の様子を目にすると、“こういう現場で、こういう技術が使われているんだ”と具体的に理解できます。生徒からも楽しかった、勉強になったという声を多く聞きます」。

こうした経験を通して、建築を学びながらも土木の魅力に気づき、将来の選択肢として意識する生徒もいる。進路をより具体的に考えるきっかけとなるのが、2年生の夏に行われるインターンシップだ。

「地元の企業さまに伺い、3日間ではありますが、実際の職場で貴重な経験を得られています。職場の空気に触れ、実際の仕事を体験できることは、生徒にとって大きな刺激になりますね」。

それらの学びを経て、進路の方向性は2年生の後半から徐々に固まっていく。就職先は地元の建設会社が多い傾向にある一方、社会状況によって県外志向が強まる年もあるという。

「コロナ禍前は県外就職が多く、コロナ禍では一度地元志向が強まりました。最近は、また県外への就職も少しずつ増えてきています。本校の場合、職種として特に人気が高いのは現場監督です。給与面の魅力に加えて、公共施設や大規模な建築プロジェクトに携われるスケール感が、将来像として魅力的に映るようです」。

建築科という明確な入口を持ちながらも、その先に広がる多様な選択肢を示していくこと。それが、庄内地域唯一の建築科が果たそうとしている役割だ。

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