特集

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2026年2月号 No 575

「労務費に関する基準」について

国土交通省 大臣官房参事官(建設人材・資材)付

1 「労務費に関する基準」導入の背景と経緯

建設業は、社会資本整備の担い手であるとともに、経済を下支えし、災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う「地域の守り手」として、大変重要な役割を果たしている。一方、現場作業を支える技能者は、高齢化と若年入職者の減少が進行し、将来的な担い手の確保は待ったなしの課題である。

技能者の入職・定着に向けて取り組むべき事項は多くあるが、中でも、全産業平均と比較して低位に留まっている技能者の賃金水準を、屋外を中心とした厳しい労働環境や技能を要する業務内容に見合った水準に引上げる等の処遇の改善が喫緊の課題である。

しかしながら、建設工事においては、慣行上、総価一式契約であるため労務費の内訳が分かりづらいこと、材料費よりも削減が容易な労務費の特性、技能者の処遇を考慮せず安価に請け負う業者が競争上有利となること等を背景として、多重的な下請契約等の下、賃金の原資である労務費は、技能者を雇用する建設業者まで適正に確保されづらい状況にある。

このため、令和6年通常国会において改正された建設業法(昭和24年法律第100号)により、これらの建設業の特性に対応し、請負契約において適正な賃金の原資たる適正な労務費を確保し、技能者の賃金として支払われるための新たなルールが設けられることとなった。

具体的には、建設業者に対し、その雇用する労働者に対する適正な賃金支払い等の処遇確保等を努力義務として位置づけるとともに、中央建設業審議会が、「労務費に関する基準」(以下「労務費基準」という。)を作成・勧告して、建設工事を施工するために通常必要と認められる労務費(適正な労務費)等を示し、これを著しく下回ることとなる労務費等による見積り・契約締結を、公共工事・民間工事の別を問わず下請取引を含む全ての建設工事の請負契約において禁止すること等としたものである。

労務費基準の作成や労務費基準の実効性を確保し、労務費基準を通じて技能者の処遇を改善するために必要な施策の具体的な検討に当たっては、中央建設業審議会に受発注者・有識者委員からなる「労務費の基準に関するワーキンググループ」(座長:政策研究大学院大学 小澤一雅教授)を設置して議論が重ねられた。その結果を踏まえ、労務費基準が令和7年12月2日に中央建設業審議会から勧告され、同12日から改正建設業法が全面施行されることとなったものである。

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