FOCUS
地域と出会い、現場を知り、人が育つ。白石工業高校・建築科の実践から見えるもの。

白石城や蔵王連峰の絶景が迎える高台に立ち、冬季には白鳥が飛来する斎川を望む、宮城県白石工業高等学校。宮城県仙南地域唯一の工業高校として、地域に根ざした教育を掲げる同校の建築科で、地域連携を軸にした学びを積み重ねてきたのが萱沼俊一先生です。ゼネコンなどでの実務経験を経て教員となり、現在は進路指導部長として生徒の将来像にも向き合う萱沼先生に、地域と結びついた授業・実習や現場見学会などの取り組み、建築教育への想いなどを伺いました。
地域とつながり
学びが動き出す
同校の建築科が大きな柱に据えるのは、地域との連携、『つながり』。なかでも建築科の同窓会組織である“白建会”の協力が、日々の授業や体験学習の魅力化に大きく寄与している。
「地域と良好な関係性を構築し、地域人材の力をお借りしながら建築教育を推進していることが建築科の特長であり、連携を絶やすことなく継続していくことが大きな目標になっています。卒業生が所属する白建会の皆様には、建築設計製図・建築構造・実習(木材加工や模型制作など)・課外活動をはじめとした多彩な教育実践プログラムの技術指導に尽力していただいています。建築業の第一線で活躍しているプロから直接学べる機会があることは、こどもたちの能力を伸長させるためにとても有益です。プロやOB・OGに支援していただくことで実践的な学びが深められると同時に、こどもたちに通常授業とは異なる刺激と緊張感が生まれ、社交性や社会性を身につける効果もあります。また、そうした“場”を積極的に設けることで、5S(整理・整頓・清掃・清潔・習慣化)やKY活動の重要性に対する気づきが生まれ、主体的に活動に臨む力を身につけていくことができます」。
建築探訪や現場見学も積極的に実施し、充実したフィールドワークと校外学習を展開している。
「見学先としては、建築を学ぶだけではなく、地域愛を醸成できるような“場”を選定しています。例えば、ホールやテラスを備えた石巻市の複合文化施設『マルホンまきあーとテラス』では、劇場建築の構造やデザインを学ぶだけではなく、地域がどのようにこの施設を活用しているのかを学ぶことができました。また、『仙台うみの杜水族館』では通常見学することができないバックヤードの見学を依頼し、鑑賞を目的とした建築に特有な回遊性や設備計画など、施設の特性に対応した建築計画を学ぶ機会にしています。個人では実現することが難しい体験の“場”を設けることで、こどもたちがより建築の本質に近づけるよう思案し、工夫しています。加えて、仙南地域のゴミ処理最終処分場や仙南クリーンセンターを訪れた際には、“循環型社会”を支えるための最新設備についてレクチャーしていただくとともに、普段の生活で廃棄される物品がどのように処理されているのかなど、持続可能な社会を目指す視点から御指導いただき、参加したこどもたちの意識も大きく変わりました。こどもたちが普段の授業以上に楽しみながら学べる環境をつくることも、建築教育にとって大切な観点であると考えています」。





