FOCUS

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2025年9月号 No 571

地域の協力やDXが広げる、若者たちの可能性。鳥取で育む“社会に活きる力”!

鳥取県立鳥取工業高等学校建設工学科 村上賢吾先生

鳥取砂丘に代表される白砂青松の海岸線や、緑豊かな山々に恵まれた鳥取市。この地で80年を超える伝統を持ち、地域産業の一翼を担う人材を数多く輩出してきたのが、鳥取県立鳥取工業高等学校、通称“鳥工”です。2025年度からDXハイスクール指定校に決定され、STEAM教育の進化などにも取り組む同校。その建設工学科において主任を務める村上賢吾先生に、地域に根ざした教育の在り方や、生徒たちに寄り添う想いを伺いました。

社会とつながる学びを
成長の力に

建設、機械、電気、情報といった技術系分野を網羅し、専門教育と人間力の育成に力を入れる鳥取工業高校。建設工学科では、建築・土木の両面を扱い、それぞれの専門性を深めている。

「2025年度からは、すべての学科を対象とした“くくり募集”を導入しました。1年生は共通科目を学び、2年次から自分の興味に応じた分野を選ぶ形です。建設工学科では、建築・土木のどちらにおいても“社会にどう貢献できるか”を意識させるようにしています。技術を身につけるのはもちろんですが、責任感を持ち、自主性を大事にすることが、社会に出てからの信頼にもつながります」。

生徒一人ひとりが持つエネルギーに触発されながら、双方向的な授業を意識している村上先生。

「生徒から元気をもらう場面もありますし、こちらからも元気を届けたい。そうしたやり取りの中で、それぞれの得意とするものを伸ばしてくれたらと思い、日々指導に当たっています」。

現場に触れながら学べる機会も充実している同校。国土交通省や地元の建設業協会、土木施工管理技士会などの協力のもとで実現している現場見学会では、橋梁工事や砂防ダム工事などを通して現場を体験しているほか、第一線で活躍するOBの姿も刺激となっている。

「インターンシップにも、毎年2年生の9月頃を目処に参加させていただいています。毎年20社ほどの企業にお声がけをいただき、生徒が実際の働き方を体験する貴重な機会となっています」。

ものづくりの力を活かす場として、地域貢献活動にも力を入れる。最近では、地域の高齢者から寄せられた“バスを待つ間、座る場所がほしい”という声に応え、若葉台地区のバス停に手作りベンチを設置した。

「地域のまちづくり協議会から要請をいただいて始めた課題研究の一環です。“自分たちの学びの成果が人の役に立つ”という実感を、生徒に持たせたいという想いもあります。地域の方から『座り心地がいいね』と声をかけていただけたのは、本当にありがたい経験でした」。

こうした実地での学びと並行し、資格取得にも力を注ぐ。夏休み期間には補講を行い、2級建築施工管理技術検定(第一次検定)などを目指す。

「過去問を中心に、短時間で集中して取り組ませています。資格はその人自身の“努力の証”でもあり、それを得ることで自信が生まれ、未来を切り拓く力になると思っています」。

進学希望の生徒には、面接練習やプレゼンテーション指導など、早期からの手厚いサポートを行う。

「推薦入試などでは、自己表現の場が重要になります。早めに取り組むことで、目指す進路に向けて準備がしやすくなります」。

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