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Kaleidoscope/建築施工系技術者に求められるコミュニケーション能力

第7回|課題は社会人基礎力の不足(最終回)

鹿島建設株式会社 建築管理本部 建築企画部 大湾 朝康

 アメリカのある経済誌で大企業の会長、社長、副社長1500人にインタビューし、「なぜ、あなたは成功できたか?」との質問に対し、72%が「コミュニケーションに関する勉強が一番役に立った」と回答※11。カーネギーの墓には「自分より賢い人の使い方を知る男、ここに眠る」と刻まれております。居ながらにして仕事のチャンスをつかめるのが「好かれる」というコミュニケーション術です。社交的な性格の人が居るのではなく、コミュニケーションに勇気をもって飛び込んでいるのだと思います。コミュニケーションそのものが喜びであり、安らぎであり、生きる目的であると言っても過言ではないでしょう※2
 最近の若い社員には、コミュニケーションに代表される「社会人基礎力」が不足する傾向にあり、これらの社員を顧客・設計者・協力業者との円滑なコミュニケーションが前提となる施工管理の仕事にいかにしてマッチングさせていくかというということが企業にとって大きな課題となっております。パソコンと対話する時間に比例して対人スキルに代表されるコミュニケーション能力が衰退する傾向にあります。ITは施工計画或いは施工管理を行うためのツールとして大変有効でありますが、ITへの依存度が高すぎると対話がなくなり、心が触れ合わないタコ壺化した組織となります。統計処理、Cloud活用による情報共有化、BIMも含めたプレゼンテーション等については、ITの活用促進は大いに歓迎したいと思いますが、相手の顔が見えない情報伝達手段であるメールや携帯電話については、コミュニケーションスキル醸成の妨げとなる可能性もあることから、対話を最優先するなど、企業内においてもルール化すべきと思われます。
 社員同士のコミュニケーションを現場のトップが自ら放棄する象徴として「所長室」の存在が挙げられると思います。工事事務所長が所長室に引き籠ることは、社員や業者の日常的な会話から現場での人間関係や不測事態を感じ取るチャンスを逃すと同時に、部下が相談しようと思っても、ドアをノックして入室の了解を得るというプロセスが障壁となり、結果として、心が触れ合うチャンスも放棄することになります。顧客対応の応接室も兼ねていると反論する所長もおりますが、工夫次第でどのようにもなると思います。某大手ゼネコンの教育担当者に依りますと、最近、事務所外から携帯で直接業者に指示する若手社員が増える傾向にあり、トラブル発生後初めて上司が気付くパターンが増えていることから、現場での携帯使用を禁止する方針を出された模様です。このような事例を参考に、身近な部分から段階を踏んで制度改革を行う姿勢が重要であると思います。
 「社会人基礎力」低下の問題は、建設業界だけでなく、全産業共通の課題であると思われます。学生時代における社会人の疑似体験、企業におけるアナログとデジタルの使い分けなど、産官学が一体となって取り組むべき大きな課題であると考えます。

以上



<参考>

※2 「コミュニケーション100の法則」 伊藤 守 ディスカヴァー
※11 「できる人の話し方&コミュニケーション術」 箱田忠昭 フォレスト出版

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