お役立ち・支援

カンタン解説 建設業者のための建設工事請負関係判例

第9回 追加工事に関して生じる紛争には気をつけたい!

(財)建設業適正取引推進機構

建設工事請負契約は有償契約であり、しかも、予め請負金額を定めて書面による契約を行うことが、建設業法では要請されている(建設業法19条)。本件は、一定額の報酬を約定する請負工事契約がなされていたが、その他に報酬額を定めないで行われた部分があり、その部分が追加工事になるかどうかが争われたという事例である。
本件は、仕事の内容、慣行から別の請負契約に基づく工事と認定され、その金額も工事内容からして合理的な報酬額として支払うことが契約者の意思に合致すると判示された事例であるが、このような紛争の発生を防止するためにも、工事着手する前に契約内容を十分に検討した上で、必要項目を全て盛り込んだ書面により、建設工事請負契約を締結することが必要である。

事件の概要

  被控訴人㈱Y工務店が行った追加工事の一部(脱衣室及び廊下の床面及び建具等の美装並びに洗面所及び便所の壁塗り替え工事等)が、当初の請負工事(建物の各種補修工事)に含まれるか、別途の報酬額の定めのない請負契約に基づく追加工事であるかが争われた。

 

 

1205_18_hanrei_title_b.jpg

控訴人の主張

㈱Y工務店が行った本件追加工事は、そもそも本工事に含まれる。また、本工事に含まれないとしても、㈱Y工務店は本件追加工事を無償で引き受けた。

■被控訴人の主張

X㈱の申出により、追加工事契約として承諾を得たものであり、別途請負契約が成立する。

1208_18_hanrei_1.jpg

 

1205_18_hanrei_title_c.jpg

 本件追加工事は、本工事には含まれない。被控訴人(㈱Y工務店)が、本件追加工事を無償で引き受けたと認めることは無理である。

 本件のように報酬を定めない請負契約においては、当該請負工事の内容に照応する合理的な金額を報酬として支払うというのが契約当事者の通常の意思に適合すると解される。

1208_18_hanrei_2.jpg

ページトップ

最新記事

  • 経営に活かす管理会計 第9回|建設企業の資金管理

    経営に活かす管理会計 第9回|建設企業の資金管理

    四国大学経営情報学部教授/㈱みどり合同経営取締役 藤井一郎

    資金管理とは具体的にどのような活動なのでしょうか。『ファイナンス戦略』などと言われる資金調達手法の検討、投資効果の話を聞く機会が多いかもしれません。もちろん、それも正しい考え方の一つですが、...続きを読む

  • 金融支援事業の利用事例

    金融支援事業の利用事例

    金融支援事業のメニューである「下請セーフティネット債務保証事業」「地域建設業経営強化融資制度」などは、それぞれに利用メリット等の特徴があります。本頁では、制度をご利用いただいている企業および団体に制度利用の背景などについてお話を伺いました。...続きを読む

  • 金融支援事業

    金融支援事業

    国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課 建設市場整備推進官 後藤 史一氏
    聞き手:建設業しんこう編集部

    建設業振興基金は、昭和50年、中小建設業者の金融の円滑化や、経営の近代化、合理化を推進し、建設産業の振興を図る組織として設立され金融支援事業の一つである債務保証事業はこの時スタートしました。...続きを読む

  • 経営に活かす管理会計 第8回|マネジメント・コントロール ―部門業績と組織業績の斉合性―

    経営に活かす管理会計 第8回|マネジメント・コントロール ―部門業績と組織業績の斉合性―

    慶應義塾大学商学部教授 横田絵理

    大規模な組織になり、その中の組織単位(部門)に大きな権限委譲がなされればなされるほど、組織全体の目標と組織内組織の目標を同じ方向にすることが難しくなります。...続きを読む

  • ROBOCOが行く! Vol.3  装備編

    ROBOCOが行く! Vol.3 装備編

    労働力不足、生産効率の向上の必要性などから「ロボットの活用」が注目されています。近年は、身体機能の改善や、重労働を軽減するさまざまな技術が開発されています。...続きを読む

最新記事一覧へ