連載

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2017年10月号 No.492

マチナカ美術館 瀬戸内国際芸術祭の作品がいつでも見られる場所

今ではすっかりアートスポットのイメージが定着した瀬戸内海の島々。そもそもは、1992年に美術館とホテルが一体となった施設「ベネッセハウス」が香川県直島にオープンしたことに端を発する。1994年には草間彌生の代表作で、直島のシンボルともなる《南瓜》の展示を開始、黄色く大きな水玉模様の南瓜が海に佇む風景により注目を集めることとなった。その後、2004年に地中美術館、2010年6月には李禹煥美術館がオープン。同年7月からは瀬戸内の島と高松港周辺を会場として、3年に一度開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」がスタートし、10月には豊島に豊島美術館が開館した。この流れにより、瀬戸内海は世界中から観光客が訪れる人気スポットの仲間入りを果たした。
そして、直島や豊島へのフェリーが発着する四国側の玄関口、高松港周辺もアートにあふれた場所だ。例えば、港にそびえ立つ、高さ8メートルの2本の柱は、大巻伸嗣の《Liminal Air ―core―》。一部分は鏡になっていて、その日の天候や時間で見え方が変わってくる作品。瀬戸内国際芸術祭がスタートした2010年からこの地にそびえる重鎮的な存在だ。また、台湾のアーティスト、リン・シュンロン(林舜龍)による《国境を越えて・海》は、台湾から流れ着いた「種の船」をイメージした作品。瀬戸内国際芸術祭2013において豊島の浜辺に展示されたもので、作品の内部では劇場としても活用された。現在は内部の観覧はできないものの、2016年より高松港そばのサンポート高松を「安住の地」とし、強烈な存在感を放っている。そのほか、大理石や黒御影など地元産の石を使ったジュリアン・オピーの《銀行家、看護師、探偵、弁護士》や、地元の公共プール内に作品を設置した谷山恭子の《I’m here. ここにいるよ》(鑑賞はプール営業期間中のみ)、本間純の《待つ人/内海さん》など、多くの作品が街に溶け込んでいる。うれしいことに、これらの街の中にある作品群は芸術祭が開かれるごとに増えていく見込みとのこと。

「Liminal Air ―core―」大巻伸嗣(高松港)

「銀行家、看護師、探偵、弁護士」ジュリアン・オピー(ことでん高松築港駅付近)

「国境を越えて・海」林 舜龍(リン・シュンロン)(サンポート高松)

高松港から瀬戸内海へ出かける用事があるときは、船の時間より早めに港に到着し、街のアートをたっぷりと楽しんでみよう。

(取材・文 浦島 茂世)

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