歴史資料

温故知新 愛され続けた復興建築|九段下ビル

九段下ビル

 昭和二年(一九二七年)、関東大震災における復興事業の一環として東京・神田神保町に九段下ビル(旧称 今川小路共同建築)が建設された。被災した近隣の商家が集まり、復興助成会社による低利融資を受けた商業施設兼用の共同住宅である。一、二階部分を商店と住居、三階は賃事務所として使用され、同時期に竣工した同潤会アパートや聖橋などと並ぶ、震災復興のシンボルでもあった。
 震災での教訓を踏まえ、耐震性、耐火性に優れた鉄筋コンクリートを用い、アールデコ調のデザインに磁器タイル貼りといった先進的な設計と装備が施され、当時としては斬新なものであった。バブル期などの消失の危機を乗り越えてきた九段下ビルであったが、老朽化も進んでおり、平成二十四年(二〇一二年)、東日本大震災を機にその安全性が問われ、惜しまれつつも八十年以上に渡るその歴史に幕を閉じた。
 時は過ぎても、震災復興に立ち向かった人々の前向きな力を感じることができる。

正式名称所在地 / 九段下ビル(旧称 今川小路共同建築)
設計 / 東京都千代田区神田神保町3-4
施工 / 南省吾
構造 / 上遠組
竣工 / 1927年(昭和2年)

 

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