歴史資料

温故知新 幻の美術館|共楽美術館

フランク・ブラングィン/《背後に別館を配した美術館の俯瞰図》/
1918-20年/素描に基づく写真/
ミッチェル・ウルフソン・ジュニア、マイアミ、フロリダ/
Photo: The Mitchell Wolfson, Jr. Study Centre, Miami, Florida/
©David Brangwyn

共楽美術館

 大正五年(一九一六年)から昭和初期にかけて、川崎造船所の初代社長、松方幸次郎がヨーロッパ各地で収集した数々の美術品は「松方コレクション」の名で知られ、現在では一部が国立西洋美術館に収蔵されている。第一次世界大戦により造船で多大な利益を上げた松方は、事業のために訪れたロンドンで絵画を購入したことを機に、たびたび渡欧してはモネやロダン、浮世絵などの一級品を収集した。
 これらのコレクションを展示するための美術館、「共楽美術館」を構想し、設計図をイギリスの画家ブラングィンに頼み、建築はルネサンス様式にするなど、計画は具体化していたが、金融恐慌で造船所の経営が行き詰ったことから、建設は頓挫してしまった。第二次世界大戦後、収集品の一部はフランス所有となったが、昭和三十四年に日本へ返還された。
 これを基に国立西洋美術館は誕生し、「日本人に本物の西洋美術を見せたい」という松方の夢が時を経て実現した。

正式名称 /共楽美術館
所在地 /東京都麻布仙台坂(予定)
設計図 /フランク・ブラングィン

 

ページトップ

最新記事

  • 絵で見る江戸のくらし 19.伝統建築と和釘

    絵で見る江戸のくらし 19.伝統建築と和釘

    文・絵=善養寺ススム

    「伝統建築は釘を一切使わない」と、よく言われますが、平成25年に行われた伊勢神宮の「式年遷宮」には、なんと七万本近い釘が使われています。 ...続きを読む

  • 絵で見る江戸のくらし 18.鋼と踏鞴製鉄

    絵で見る江戸のくらし 18.鋼と踏鞴製鉄

    文・絵=善養寺ススム

    前回は工具のお話でしたが、今回はその材料、鉄のお話でございます。来年は日本史好きの人には大事な年、幕末維新(大政奉還)一五〇周年です。...続きを読む

  • 絵で見る江戸のくらし 17.百八十年前の大工道具

    絵で見る江戸のくらし 17.百八十年前の大工道具

    文・絵=善養寺ススム

    今回は大工道具のお話でございます。イラストは文政年間(1818年~30年)に描かれた画帖の模写です。作らせたのは長崎・オランダ商館の館長を務めたヤン・ブロンホフです。...続きを読む

  • 絵で見る江戸のくらし 16.文化財の活かしかた

    絵で見る江戸のくらし 16.文化財の活かしかた

    文・絵=善養寺ススム

    私の住まいの近くに、江戸後期に建てられた名主屋敷の「長屋門」がございますが、いつの間にか「指定有形文化財」の看板が撤去されておりました。...続きを読む

  • 絵で見る江戸のくらし 15.江戸時代の都市の堀端

    絵で見る江戸のくらし 15.江戸時代の都市の堀端

    文・絵=善養寺ススム

    江戸や大坂は、日本の近代都市の象徴のような街です。その特徴は街の隅々に伸びる堀割りにあります。堀割りが重要だった理由のひとつは舟のためです。日本は馬車や牛車などの陸運が発達しなかった国ですが、その代わりを担ったのが水運です。...続きを読む

最新記事一覧へ