歴史資料

温故知新 人の心に芸術を|大原美術館

写真提供:大原美術館

大原美術館

 昭和五年(一九三〇年)、昭和恐慌の真っ只中に、日本で最初の西洋近代美術館である「大原美術館」は誕生した。
 美術館の開館は、倉敷を拠点に活躍する事業家・大原孫三郎が、志を共にした画家・児島虎次郎の死を悼み、故人の作品と生前に収集したエル・グレコの「受胎告知」やモネ、ゴーギャンなどの作品を公開したいという友情を記念するものであり、また「広く社会に意義あること」を願ったものでもあった。
 白壁の蔵屋敷が並ぶ倉敷美観地区に溶け込むギリシャ神殿風の建築は、薬師寺主計(やくしじかずえ)の設計によるもので、粉砕した石灰石を着色したセメントに混ぜて塗る人造石塗りの手法で、不況の中でもコストを抑えた工夫が施され、耐久性に優れた重厚な建築物となった。
 開館当初はゼロの日もあったという来館者も、開館八〇周年の際には約三三〇〇万人に達し、今もなお二人の志は、芸術を通して多くの人の心を育み、生きる力を与えている。

正式名称/大原美術館
所在地/岡山県倉敷市中央1-1-15
設計/薬師寺主計
構造/鉄筋コンクリート
竣工/1930年(昭和5年)

 

ページトップ

最新記事

  • 絵で見る江戸のくらし 19.伝統建築と和釘

    絵で見る江戸のくらし 19.伝統建築と和釘

    文・絵=善養寺ススム

    「伝統建築は釘を一切使わない」と、よく言われますが、平成25年に行われた伊勢神宮の「式年遷宮」には、なんと七万本近い釘が使われています。 ...続きを読む

  • 絵で見る江戸のくらし 18.鋼と踏鞴製鉄

    絵で見る江戸のくらし 18.鋼と踏鞴製鉄

    文・絵=善養寺ススム

    前回は工具のお話でしたが、今回はその材料、鉄のお話でございます。来年は日本史好きの人には大事な年、幕末維新(大政奉還)一五〇周年です。...続きを読む

  • 絵で見る江戸のくらし 17.百八十年前の大工道具

    絵で見る江戸のくらし 17.百八十年前の大工道具

    文・絵=善養寺ススム

    今回は大工道具のお話でございます。イラストは文政年間(1818年~30年)に描かれた画帖の模写です。作らせたのは長崎・オランダ商館の館長を務めたヤン・ブロンホフです。...続きを読む

  • 絵で見る江戸のくらし 16.文化財の活かしかた

    絵で見る江戸のくらし 16.文化財の活かしかた

    文・絵=善養寺ススム

    私の住まいの近くに、江戸後期に建てられた名主屋敷の「長屋門」がございますが、いつの間にか「指定有形文化財」の看板が撤去されておりました。...続きを読む

  • 絵で見る江戸のくらし 15.江戸時代の都市の堀端

    絵で見る江戸のくらし 15.江戸時代の都市の堀端

    文・絵=善養寺ススム

    江戸や大坂は、日本の近代都市の象徴のような街です。その特徴は街の隅々に伸びる堀割りにあります。堀割りが重要だった理由のひとつは舟のためです。日本は馬車や牛車などの陸運が発達しなかった国ですが、その代わりを担ったのが水運です。...続きを読む

最新記事一覧へ