人材確保・育成

建設産業の活性化 ~建設産業活性化会議中間とりまとめ~

女性技術者の積極的な雇用を進め この業界の魅力を発信していきたい

北海道建設業協会 副会長兼労務委員長 萩原 一利 氏
(帯広建設業協会 会長/萩原建設工業 株式会社 代表取締役社長)

 北海道建設業協会副会長兼労務委員長と帯広建設業協会会長を兼任し、北海道帯広市で90年余り続く建設会社の社長でもある萩原一利氏。同社には現在2名の女性技術者が在籍し、男性の中で活躍しています。その萩原氏に、北海道の建設業界の現状と女性雇用などについてお聞きしました。

 

技術者の卵の子どもたちと意見交換会を実施

萩原氏

 建設業界全体の問題になりますが、技術者、技能者の不足と高齢化が深刻化しています。帯広建設業協会(以下、帯建協)の例では、型枠大工はピーク時に700人台だったのが、昨年の調査では170人にまで減少しました。鉄筋工なども同様です。その方々の半数以上が50歳以上。また、この10年間で落札率も下がり、労務単価も3分の2に下落しました。北海道はもともと労務単価が低く、全国でも46〜47番目の最低ライン。型枠大工の設計労務単価が、宮城県と北海道の差が9,500円代という現状で、技能者がより高額な東京方面の現場に取られているケースも出ています。
 先日、帯建協では初めての取り組みとして、技術者の卵である帯広工業高校の子どもたち(環境土木学科10名、建築学科10名)を協会へ招き、意見交換会を実施しました。その結果、大多数の学生がこの業界への就職を望んでいると分かりました。ただし、帯広では公共工事がこの10年間で3分の2に減ったことに伴い、新卒学生の採用が控えられる傾向にあったことも事実です。人材不足が叫ばれるいま、今後は採用枠を広げて女性も積極的に採用していくことを説明しました。
 北海道建設業協会・副会長の立場で申し上げるとすれば、女性技術者の積極的な雇用を進めつつ、この業界の魅力を発信していきたいですね。いまの業界のイメージは悪すぎますから。人材の発掘・育成を考える前に、我々自身が魅力を再発見する必要性を強く感じています。
 建設業の魅力とは何か。何を発信していけばいいのか。その一つの回答が、私たちが手掛けている仕事です。道、橋、建物……それらは地図に載る仕事であり、その建造に携わった設計者、監理者、作業員の一人ひとりの心に「自分がつくった」という達成感が刻まれるはずで、それが、やりがいにつながっていくでしょう。また、もう一つの重要な仕事が、地域の安全・安心を縁の下から支えること。それを実感することも大きな喜びになります。こういった魅力を対外的にもっともっとアピールすることが大切であり、これを継続することで、若い人たちの目もきっと建設産業に向いてくれると思います。


最初は不安だった女性雇用“きめ細かい心配り”が利点

萩原建設工業㈱本社

 弊社、萩原建設工業としては、現在2名の女性技術者が在籍しています。正直申し上げると、女性の採用には最初少し不安があったことも事実です。でも、安心しました。入社した彼女たちはやる気にあふれていて、仕事に対する姿勢もまじめです。もちろん男性に比べると非力ですし、体力的にも劣ります。しかし、女性の方が仕事もきめが細かく、細かいところまで気が回ります。そこは男性にない利点だと思います。
 女性技術者のいる現場では、トイレや更衣室といったハード面での環境整備は必要ですが、女性が加わったことで職場の雰囲気が華やいだものになりました。彼女たちが女性技術者の先駆者となって、業界の憧れの先輩になってくれたらいいですね。それを対外的にアピールしていけば、きっと業界も変わってくると思います。




インタビュー

周囲から「現場が華やかになる」と喜ばれる
それが女の特権だし、武器にしてもいい

萩原建設工業㈱ 土木部 林 真弓 さん【平成21年入社】
萩原建設工業㈱ 建築部 小泉 優香 さん【平成23年入社】

林さん

覚悟して入ったけど 男性のほうが困惑して……

──林さんは最初から土木志望だったんですか。
林さん 私は高校から建設業に絞って勉強していました。就活時に会社説明会に行くと「女性の受け入れ体制がない」と断られたことがあったんです。とくに土木分野の女性募集は少なかったですね。建築の方はそれなりにあったと思います。
小泉さん 最近は、土木でも女性技術者の採用が増えています。私の場合は、いまは施工管理に従事していますが、内装や設計、デザインもやってみたいですね。

──男だけの世界に不安はなかった?
林さん もちろん不安はありましたよ。ただ、入る前から男の世界だということは理解していましたし、それなりの覚悟を決めて入りました。実際には男性のほうが困惑してしまっている感じで、同期の男性が先に現場へ配属されてしまったのは少し寂しかったですね。

──女性に対する会社側の扱いは?
小泉さん 同期の男性と同様に扱ってほしいのに、少し遠慮があるみたい。
林さん そうですね。男性の職場に入ったのだから、男の人と同じように扱ってほしいのが本音。ただ、そんな風に思ったのは最初の1年だけでした。2年以降は慣れました。しっかりと仕事に臨んでいれば、周りの見る目も変わってきますしね。

──トイレとか、大丈夫ですか。
林さん 最初から仕事することが決まっている現場は、女性用トイレも用意されていますが、困るのは突発的に行く現場。女性用がないのが普通ですから。


小泉さん

結婚しても仕事を続けていける福利厚生の制度化を望みたい

──現場の反応はいかがでしょう。
小泉さん 周囲から「現場が華やかになる」と喜ばれます。それは“女性の特権”だと思うし、それを活かしてもいいと思う。現場に入ると「女性というだけで」ほかの作業員や業者さんの対応も優しいし、接し方も違います。

──最初から優しかったですか。
林さん いいえ、そんなに甘くない。何もできないと認めてもらえませんよ。それなりに勉強しないと相手にしてもらえません。
小泉さん 正直、「なめられてる」と思ったこともありますよ。そこはコミュニケーション能力を高めて克服していくしかないですね。

──これから業界に入ろうと思っている女性にアドバイスするとしたら?
小泉さん 覚悟をして入ることかな。覚悟があれば大丈夫です。
林さん そんなに心配しないでも大丈夫。男性に比べると、叱られることも少ないと思います。男性だったら怒鳴られるような状況でも、相手が女性の私だったので大事にならずに済んだことが何度かありました。先ほどお話しした女性ならではの特権を活かし、武器にしてもいいでしょう。

──最近は女性の職人さんも増えたと思います。
小泉さん 建築では、若い女性のとび職がいます。若いといっても30代くらいですが、こちらが尊敬するくらいたくましいです。
林さん 女性の鉄筋工もいるし、ダンプの運転手もいますね。みんな素敵です。

──力仕事が多いと思いますが。
林さん 大丈夫です。誰だって得手不得手があるんですから。
小泉さん そうそう。無理だと思ったら、同僚に頼んでやってもらえばいいんです。「これを持っているから、杭を打って」とか。<

──今後、女性が業界に根付くには何が必要でしょう。
小泉さん 結婚しても仕事を続けていきたいと思っています。子どもが小さいうちは定時に帰りたいし、福利厚生をさらに充実してもらえるとうれしいですね。

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