特集

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2017年10月号 No.492

建設業の技術者

建設生産システムを取り巻く環境が大きく変化する中、今年の6月、約3年近くにわたる議論を経て、国土交通省の「適正な施工確保のための技術者制度検討会」におけるとりまとめが公表されました。本特集では、今後の技術者制度と若手技術者確保・育成の方向性、建設業技術者という仕事の魅力などについてご紹介します。

「適正な施工確保のための技術者制度検討会」とりまとめについて

国土交通省土地・建設産業局建設業課

1 はじめに

国土交通省では、建設工事の適正な施工の確保、優秀な技術者の確保及び育成のための制度上、運用上の問題点を把握し、講ずべき施策の検討を行うため、学識経験者からなる「適正な施工確保のための技術者制度検討会」(以下「検討会」という。)を設置、平成26年9月より17回にわたりご議論をいただき、平成29年6月にその検討内容がとりまとめられました。

図-1 適正な施工確保のための技術者制度検討会 委員名簿

図-2 適正な施工確保のための技術者制度検討会 とりまとめ概要

2 具体的な技術者制度の方向性

とりまとめでは、図-2に示す背景、目標、施策の柱を整理し、これを踏まえた5つの具体的な技術者制度の方向性が示されました。この5つの方向性に関する主な具体的方策は次のとおりです。

①高い能力を有する技術者の育成 ~技術者の地位向上に向けて

信頼性・専門性の高い資格保有者の輩出と現場への配置推進
公的資格保有者の配置推進、電気通信工事の技術検定制度創設、主任技術者資格について民間資格の認定推進
技術者の能力向上 ~施工技術等の進展への適応
継続的な技術研鑽の仕組みづくり(CPD等既存の枠組みの活用、現場実務経験の評価)
より高い能力を有する者が評価される環境の整備
特に難易度の高い工事や重要な工事についてより高い技術を有した者による施工管理

②適正な施工の徹底 ~技術者の役割の全う

適正な能力を有した技術者の配置の徹底
専任の監理技術者に対して導入されている確認制度の元請企業の主任技術者への拡大の検討
法令で義務化された事項の運用徹底
現場配置技術者と営業所専任配置技術者の兼務等法令遵守状況のチェックへ向けたデータベースの融合
不正行為による施工不良事案の根絶
技術者個人による不正行為への対応の検討
建設企業以外の者の役割の明確化
メーカーや商社等の位置づけの検討、工場製品製造者等への行政関与制度の創設

③技術者制度の基本的枠組みの再構築

元請企業と下請企業の区分け
元請企業と下請企業の技術者の役割の明確な区分、監理技術者配置要件の検証
関係者の役割の明確化
現場代理人、職長等の役割の明確化
元請企業における施工体制 ~元請企業内での「チーム」による施工を支援する環境づくり
監理技術者に対する本社やベテラン技術者による支援、補助技術者の配置
下請企業における施工体制 ~複数の専門工事企業による「チーム」を前提にした制度構築
主任技術者配置をチーム単位とする概念の導入
今後の検討課題 ~具体的な制度の再構築(監理技術者の配置要件、技術者の専任要件の見直し等)に向けて
金額要件以外の基準導入可能性の検討

④若年齢から活躍できる機会の付与

技術検定制度の改革 ~早期資格取得へのチャンスの拡大
試験の年2回化、学科試験合格者の実地試験受験可能回数の拡大、学科試験合格者へ「技士補」称号の付与、職業訓練の実務経験年数への算入
若手技術者の現場登用機会の創出
2級技士取得の1級技士補(前述)の現場登用機会の検討、技士補の経営事項審査の技術力評点への算入の検討

⑤働き方改革(職場環境の改善等)の推進

監理技術者に対するサポート体制の充実
本社からのサポート体制、補助的な技術者の配置
提出書類の簡素化
工事書類の簡素化、監理技術者資格者データの経営事項審査への活用
技術者の途中交代
女性活躍推進の観点からの交代要件の拡大、明確化
営業所専任技術者のあり方
工事現場との兼務を認める対象の拡大
企業集団に関する技術者の有効活用
企業集団内の技術者の融通機会の拡大

3 おわりに

検討会では、建設業法が制定されて約70年が過ぎる中、制度の根幹をなす部分にまで踏み込んだ議論が必要ではないかとの認識に立って議論が行われました。今後、これらの具体的方策を踏まえ検討を進めていくこととしています。

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